不安定 ページ3
夢主side
低い声と共に頭をがしっと掴まれる感覚。
「げっ…!」
「げっ、じゃねぇんだよ奏!!五条と夏油も!」
いつの間に起きていたのか、幸希が青筋を立てて私の頭を掴んでいた。
「何やってんだよ!人の机の引き出しに手突っ込んで!」
「お宝探し…?」
「そんなことしなくてよろしい!五条と夏油も、どうせ奏が誘ったんだろ!本当に教育に悪いなお前は!」
「酷い!!同級生の内情を知ることは同級生の義務よ!」
「んな義務あってたまるか!!」
「ごめんなさーい!!」
慌ててゲトゥーの背後に隠れた私を見て頭を押さえた幸希は、カーテンを開けて窓の外を見る。
「つか、もう2時過ぎてるから奏と小鳥は帰れ。」
そしてベッドを背もたれにして寝ている小鳥に声をかけた。
「おーい、小鳥。お前も起きろー。ちゃんとベッドで寝、」
「昏曽先輩。私がおぶって寮まで連れて行きますよ。藪木先輩も送れますし、丁度いいでしょう。」
名乗り出たのはゲトゥー。やっぱり紳士な奴だな!ちみは!
結局散らかった部屋は幸希と五条君が片付けてくれることになったので、小鳥をおぶったゲトゥーと共に向かいの女子寮まで歩く。
外は暗く、冷たい風が吹き抜ける。満天の星空の下にいるというのにゲトゥーの顔は暗い。
「…ね、ゲトゥー。ちょっと話さない?」
私がそう言って笑うと、ゲトゥーはハッとしたような顔をして眉尻を下げた。
「…そんなに、酷い顔をしていましたか?」
「かなりね。五条も酷い顔をしてたけど、あなたも大概よ。」
私がそう言うとゲトゥーは躊躇うように口をつぐみ、少し目を彷徨わせた後に意を決したように声を発した。
「……少し、少しだけ、非呪術師の存在する意味が分からなくなったんです…。」
「やだなぁもう君達って。本当に同じこと言うんだから。」
「……悟も?」
「うん。あの時、非呪術師を殺すことに躊躇いがなかったとも言っていた。」
「…私は、まだ悟を止めることが出来ました。けど、きっかけさえあれば闇に飲み込まれてしまうような…、自分自身が怖いんです。」
「夏油……」
…………ああ、この子は、いけない。
不安定だ。
恐らく五条君よりも、ずっと。
夏油が闇落ちしたら強大な敵となるだろう。敵に回すと恐ろしいとはこういうことだ。
こういう場合、最も効果があるのは。
「ねぇ、もしかしての話なんだけど。夏油って、小鳥のこと好きでしょ?」
相手の情に訴えること。
「えっ、」
夏油は細い目をかっ開き、次に汗をダラダラと流した。
え、動揺しすぎじゃない?
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ただの本名;只野です。(プロフ) - 面白すぎて鼻水吹いた。気長に更新待ってます。1年でも10年でも100年でも。あっ1000年ぐらいはオッケーです。 (7月31日 11時) (レス) @page42 id: e7ab028975 (このIDを非表示/違反報告)
佐久間くんが好きなピカソ - えっなんかもう控えめに言って天才??ここまで一気読みしちゃいました、、、!!更新頑張ってください土下座待機してます!! (2023年1月28日 22時) (レス) @page42 id: 8a09725b52 (このIDを非表示/違反報告)
くさ - めっちゃ面白いですね!!!!これからも更新頑張ってください! (2023年1月3日 11時) (レス) @page35 id: 56aae56e91 (このIDを非表示/違反報告)
瞳子 - すみません!!!!誤字ってました(;´_ゝ`) (2023年1月1日 20時) (レス) @page35 id: c668961e12 (このIDを非表示/違反報告)
瞳子 - 物凄く面白かったです!色々なキャラクターが出てきて面白すぎてあっという間に読み終えてしまいました!これからも応援してますとぷり( ≧∀≦)ノ (2023年1月1日 20時) (レス) @page35 id: c668961e12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EL | 作成日時:2022年8月14日 14時