なんかいる ページ18
夢主side
「…お前は、まぁ、自力で帰って来るだろうなと思ってたんだよ。」
「分かるよ。面倒くさかったんだね。続けて。」
「で、俺は登ったときと降りたときとで階段の段数が違ったら異世界に飛ばされてる?みたいな階段の調査に行ったわけ。資料を見たとき、場所は覚えてたからな。」
「結果は」
「見事に違う。階段を降りたその瞬間、俺はここに飛ばされた。」
五条君は自分の立つ場所を指差す。だが、私たちが今いる場所はどこをどう見たって学校だし、何が異世界なのか分からない。
「そこのドア開けて教室の中覗いてみろ。何故か音楽室になってっから。」
そう言われた私は、指示に従って目の前の教室のドアを開けた。すると何故か室内が、4階の端にあるはずの音楽室になっていた。
いやいやまさか…思って隣の教室を開けてみると、こちらは合わせ鏡のように教室がずっと奥まで続いていた。
「なんと。」
「な?」
「……ここもまだ本当の世界ではなかったか。………で、お前はなんなの?」
私は先程から何故か大人しく私達の会話に耳を傾けている偽五条に話しかけた。
「…え、気が付かないわけ?俺も七不思議の一つなんだけど。」
「そうなの?早く言ってよ。」
術式を発動させようとすると、慌てて偽五条が止めてくる。
「わー!!待て待て待て!!!祓うのはいい!!でも後にして!!まずは俺の話を聞けって!!!」
「悪いが、呪霊に貸す耳は持ってねぇ。祓う。あと俺と同じ姿やめろ気持ち悪いんだよ。」
「やめますやめます!!だから祓うのは待ってくれって!!」
偽五条が五条君の眼光に威圧され涙目でそう言うと、ドロリとその姿が溶け、次の瞬間私の姿になった。
「ちょっと。誰も私の姿になってだなんて言ってないわよ。」
そう文句を垂れると、偽物の私はこちらを見て口を尖らす。
「仕方ないじゃない。この男が嫌だって言うんだから。私、鏡に映った相手の姿しか模倣できないんだから、少しは多めに見てよね。」
声も、仕草も、何もかも私と同じ。違うことといえば、制服の形が左右反転していることくらいか。
いやぁ、しかし私は美人ですなぁ!!
「なるほど。お前、鏡の七不思議か。」
「…え?鏡…?あの、鏡の中に引き摺り込まれるってやつ?」
「そうそれ!!」
偽物の私、もとい鏡の呪霊は屈託ない笑顔で大きく頷く。
「でもまだ12時じゃないわよ?」
「そうじゃん。お前、時間間違えてね?」
資料を2人で見てみると、鏡の世界に引き摺り込まれるのは深夜12時44分44秒に踊り場の鏡の前に立った時と書いてある。
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ただの本名;只野です。(プロフ) - 面白すぎて鼻水吹いた。気長に更新待ってます。1年でも10年でも100年でも。あっ1000年ぐらいはオッケーです。 (7月31日 11時) (レス) @page42 id: e7ab028975 (このIDを非表示/違反報告)
佐久間くんが好きなピカソ - えっなんかもう控えめに言って天才??ここまで一気読みしちゃいました、、、!!更新頑張ってください土下座待機してます!! (2023年1月28日 22時) (レス) @page42 id: 8a09725b52 (このIDを非表示/違反報告)
くさ - めっちゃ面白いですね!!!!これからも更新頑張ってください! (2023年1月3日 11時) (レス) @page35 id: 56aae56e91 (このIDを非表示/違反報告)
瞳子 - すみません!!!!誤字ってました(;´_ゝ`) (2023年1月1日 20時) (レス) @page35 id: c668961e12 (このIDを非表示/違反報告)
瞳子 - 物凄く面白かったです!色々なキャラクターが出てきて面白すぎてあっという間に読み終えてしまいました!これからも応援してますとぷり( ≧∀≦)ノ (2023年1月1日 20時) (レス) @page35 id: c668961e12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EL | 作成日時:2022年8月14日 14時