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再会 ページ16

夢主side



五条君が考え込んでしまったので、私も考えるふりをして辺りを見渡す。こういうことは五条君に丸投げでいいのだ。



トイレの横にあるのは階段。
そして不意に目に入った踊り場の鏡。
今日はやけに鏡が目につく。








………あれ?






「…ねえ五条、あそこの踊り場に鏡なんてあったっけ?」

「そこに鏡があんならあったんじゃねぇの。」

至極真っ当な返事をされた。

いやまさにそうなんだけれども。



「って、そうじゃなくて。」

「あ?なに、お前は鏡に手足が生えてあそこに移動したとでも言いたいわけ?」

「…いや、でも……いや、うん。私が最初見てなかっただけよね。」

「おい?どこ行くんだよ。」

階段を降りて踊り場の鏡の前に立つ。
何の変哲もない。ただの鏡。だけど、何かある。


「んな鏡どうでもよくね?」

後ろから着いてきた五条君がそう言うが、私は気にせず鏡に手を這わせた。私の背後に、五条君が映る。



「さっさとトイレに戻ろうぜ。どうせ何もねぇって。」

「…ん?」

鏡に映った五条君に目を凝らす。そして何度か瞬きをして、背後の五条君を振り返る。


「…ちょっと待って、」

「なに。俺の顔に見惚れちゃった?やだ〜、センパイったら面食い〜」


五条君はおちゃらけた表情で茶化してくるが、私は気が付いた。感じていた彼の違和感に。






「ねぇ五条。……………あんたの制服のボタンって、最初から右に付いてたっけ…………?」

「は?」



次の瞬間、私は鏡の中から生えてきた手に腕を掴まれた。ちなみに鏡の中から手が出てくるのは本日二度目である。


「!!?」

「おい!藪木奏!!」

突然のことに対応しきれず、引っ張られるままに鏡の中に引き摺り込まれそうになるが、背後にいた五条君が間一髪で引き止めてくれる。

だが、私はこの鏡から生えている手が敵だとはどうしても思えなかった。



「おい!何してんだよ藪木奏!踏ん張れよ!」

と後ろで叫んでくる男がいるが今は相手にしていられない。

私は何にも躊躇わずに鏡から生えてきた腕を掴んだ。
そして背後にいる五条君の胸を思い切り突き飛ばし、手に引っ張られるままに鏡の中へと入ったのだ。

鏡の中に入る、というのは少し違うかもしれない。
鏡をすり抜けると、向こう側にあったのは私が今まさに立っていた踊り場だったから。


「………藪木奏…?ああ、お前だったんだ。」

鏡をくぐった私のすぐ目の前に立っているのは五条君。

私の腕を掴んでいるのを見ると、鏡の向こう側の世界から私を引きずり出したのは五条君のようだった。

消えたのは私の方だった…?→←五条、お前なんか変?



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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 高専   
作品ジャンル:恋愛
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ただの本名;只野です。(プロフ) - 面白すぎて鼻水吹いた。気長に更新待ってます。1年でも10年でも100年でも。あっ1000年ぐらいはオッケーです。 (7月31日 11時) (レス) @page42 id: e7ab028975 (このIDを非表示/違反報告)
佐久間くんが好きなピカソ - えっなんかもう控えめに言って天才??ここまで一気読みしちゃいました、、、!!更新頑張ってください土下座待機してます!! (2023年1月28日 22時) (レス) @page42 id: 8a09725b52 (このIDを非表示/違反報告)
くさ - めっちゃ面白いですね!!!!これからも更新頑張ってください! (2023年1月3日 11時) (レス) @page35 id: 56aae56e91 (このIDを非表示/違反報告)
瞳子 - すみません!!!!誤字ってました(;´_ゝ`) (2023年1月1日 20時) (レス) @page35 id: c668961e12 (このIDを非表示/違反報告)
瞳子 - 物凄く面白かったです!色々なキャラクターが出てきて面白すぎてあっという間に読み終えてしまいました!これからも応援してますとぷり( ≧∀≦)ノ (2023年1月1日 20時) (レス) @page35 id: c668961e12 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:EL | 作成日時:2022年8月14日 14時

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