洗濯 ページ10
夢主side
次の日から、私の新しい生活が始まった。
着物は簡素な動きやすい物に着替え、髪も今までとは一変して高く縛る。
私の部屋は離れの屋敷の中にある。
聞いたところによると、使用人にはそれぞれ部屋が与えられ、きちんと仕事さえしていれば後は気ままに過ごす事が出来るらしい。衣食住全てが保証されているという厚待遇だ。
「はっきり言って、ここで働けるなんて加々美は幸運だったのよ?」
「そうだそうだ!!宿儺様よりも優しい人を俺は他に知らねぇな!!」
同じ洗濯係となった玉葉と道久に揃ってそう言われた。
玉葉は小柄な少女。貴族の娘だったが人狩りに攫われた所を裏梅さんに助けられ、口添えもあってここで働く事になった。
道久は溌剌とした青年。私と同じく忌み子、更に庶民だったから子供の頃に貴族に両面宿儺への生贄にされた。
そんな2人は両面宿儺への感謝からか、彼を敬愛しているようだ。
「あなたは宿儺様に軽口を叩いたんでしょ?」
「げっ、何故それを」
「ここじゃその話を知らねぇ奴はいねぇぞ?あの宿儺様相手に、とんでもねぇ女が来たってな。気をつけろよ?夕顔さん、そういう事に関しては口軽いから。」
「夕顔さんかよ!」
あんな優しそうな微笑を浮かべておきながら!!
「でも、結果的にそのおかげで宿儺様に忌み子だって気が付いてもらえたんじゃない。並の人なら、そういう境遇を話す前に即座に殺されちゃうから。」
「そうそう。俺も思いっきり抵抗したっけなぁ〜。懐かしい懐かしい。」
「私なんて宿儺様を思いっきり睨んじゃったわ。」
玉葉と道久はなんてことないように話すが、普通の人間なら両面宿儺相手にそんな恐ろしい事出来ないだろう。
いやもっと大変な事した私が言うのもなんだけど。
「でも、それでも生贄になって生き残れる人は一握りもいないのよ。ここ数年、生き残った人はいなかったし。」
「そうなの?だったら尚更私が生き残れたの不思議すぎるんですけど。」
忌み子だから、で済まされるどころじゃない不敬を働いた記憶があるんだが。
「とにかく、あなたは宿儺様にとっての「快」に当てはまったって事よ。良かったじゃない。」
「そうそう。呪詛師であっても宿儺様に逆らったら殺されるからな。こうして使用人として働いている俺達がある意味一番安全なんだぜ?裏切る事さえしなきゃな。」
「ほうほう。」
「裏切る事だけはしちゃ駄目だからね。宿儺様、裏切り者には厳しいんだから。こう、すぐに頭がスパーンッよ。」
玉葉は手で首を切る動作をしてみせた。
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かな - うわぁぁぁぁぁ完結やばすぎてやばたにえん←え? (4月8日 4時) (レス) @page40 id: 944b8cf5cc (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー - え?これ、ハッピーエンド?これで完結だと?続編期待してます❗ (4月7日 20時) (レス) @page40 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
coco - 更新待ってまる (1月13日 5時) (レス) @page40 id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - 千と千尋ww 開き直れる主人公めっちゃおもろいです笑笑 (12月27日 0時) (レス) @page8 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - ふ、ふぇ??完結、、??この神作夜中に寝ている親の横で読んでいたから吹き出しそうになって危なかったですwそれと泣きました(( (12月4日 19時) (レス) id: 733585db8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EL | 作成日時:2021年5月14日 6時