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夢主side
次の日、私は珍しく悶々としていた。
…あの宿儺様が、内親王様と、夜な夜な睦み合っているだとぅ!?
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『か、勘違いしないでね加々美!!あくまで噂だから!!宿儺様、多分苑子様に見向きもしないだろうし!』
『そ、そうそう!絶世の美女らしいけど、宿儺様って顔の美醜はマジで気にしないし、なんなら加々美の方が美人だし!!』
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などと2人は宿儺様をフォローしていたが、宿儺様は皇女にまでも手を出せる人だということが分かった。
まぁ、私には関係のないことだけども。
だって私、宿儺様の前では「貴方を見ると私の心はトゥインクルトゥインクル」とか言ってるけど実際は心臓1ミリもバクバクいってないかんね。
…私だって恋したいけどさ、忌み子として虐げられて泣いていた私の心は、そう簡単に他人の侵入を許してくれない。
「…あ、いいもの食べてる。」
そんな私が籠を持って縁側を歩いていると、庭を見つめながら桃を食べている宿儺様を見つけた。
「…………」
「いいなぁ…」
「仕事をしろ。」
「……。」
「……はぁ。…………来い。」
「やりぃ!」
キラキラとした目で宿儺様を見つめると、宿儺様は根負けしたようにため息をついて私を手招きした。
なので私は籠を置いて宿儺様の側に駆け寄る。
「…他の者には内密にな。」
そう宿儺様は笑うと、私の口に桃を突っ込んだ。
熟れた桃は甘くて瑞々しくて美味しい。
「…美味いか。」
「大変美味でございます。宿儺様の寛大な御心に平伏致します。と見せかけてもう一つください。」
「…お前をこうして甘やかしているから、調子に乗っていくんだろうな。」
「えへへ」
「褒めておらん。」
と言いながらも宿儺様は私の口に桃を突っ込んでくれる。
さながら親鳥からの餌を口を開けて待つ雛鳥の気分だ。
と口をモゴモゴとさせていると、宿儺様が顔を近付けて来る。
おう近いな。と思っているうちに、口の端をぺろりと舐められた。
「…既視感のあるこの状況…。あ、一昨日の夜か。」
と言いながらも桃を食べるのはやめない。
恐らく果汁が口の端から垂れていたのだろう。
「…たまにお前は本当に女なのか疑いたくなる時がある。」
「どこからどう見ても女でしょうよ。」
「…ではお前、まさか口付けは経験済みであったのか?全然照れないではないか。」
「そう言う宿儺様こそ経験済みですよね?聞きましたよ。苑子内親王と夜な夜な睦み合ってるって。」
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かな - うわぁぁぁぁぁ完結やばすぎてやばたにえん←え? (4月8日 4時) (レス) @page40 id: 944b8cf5cc (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー - え?これ、ハッピーエンド?これで完結だと?続編期待してます❗ (4月7日 20時) (レス) @page40 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
coco - 更新待ってまる (1月13日 5時) (レス) @page40 id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - 千と千尋ww 開き直れる主人公めっちゃおもろいです笑笑 (12月27日 0時) (レス) @page8 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - ふ、ふぇ??完結、、??この神作夜中に寝ている親の横で読んでいたから吹き出しそうになって危なかったですwそれと泣きました(( (12月4日 19時) (レス) id: 733585db8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EL | 作成日時:2021年5月14日 6時