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夢主side
「え。なんすか。」
「今夜は酌でもしておけ。お前に出来ることはそれくらいだろう。」
「うっわぁー、言い方。」
だが、宿儺様の言う通りなので素直に徳利で盃にお酒を注ぐ。
が、特に宿儺様はそれ以上喋ろうともしないので、私も大人しくいかに上手く酒を注げるかに専念した。
すると、暫く経って宿儺様が口を開く。
「………今宵は満月だな。」
確かに夜空を見上げると、光り輝く満月が庭を照らしていた。
「…そういえば、宿儺様の庭ってどうしてこんなに殺風景なんですか。生き物もいないし…。」
「何だ、不服か?」
「いえ?でもちょっとつまんないかなぁ〜?みたいな。」
「…………ふん。」
そう言って宿儺様が床を人差し指でコツンと叩いた瞬間、庭が光に包まれた。
「!?」
光が収まった時には、木の葉が桜色に染まっており、蠱惑的な鱗粉を放つ蝶がそこら中に沢山舞っていた。更には池には色とりどりに輝く鱗を持つ鯉が跳ねているのだ。
先程の殺伐とした庭とは全然違う。幻想的な庭が広がっていた。
「えっ、な、何これ、綺麗……」
「お気に召していただけたようで何よりだ。まぁ、所詮は呪術だから術を解いてしまえば跡形もなく消えるが…。どれ、その蝶に近付いてみろ。」
宿儺様が顎でそう示したので、縁側まで出て来る。
すると蝶が自然と私の方にパタパタと近付いて来た。
「……うわぁ〜……凄い…」
蝶が眼前にまで近付いて来たので手を伸ばすと、私の手に触れた蝶は砂の城のようにサラサラと崩れて行った。
「……あ……」
「術で作っているからな。触れればそうなる。」
「凄い…こんな事も出来るんですね…」
後ろを振り返ると、宿儺様が頬杖をついて、優しい顔でこちらを見ていた。
うん。むしろ楽しませてもらっているのは私の方だと言うことは黙っておこう。
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かな - うわぁぁぁぁぁ完結やばすぎてやばたにえん←え? (4月8日 4時) (レス) @page40 id: 944b8cf5cc (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー - え?これ、ハッピーエンド?これで完結だと?続編期待してます❗ (4月7日 20時) (レス) @page40 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
coco - 更新待ってまる (1月13日 5時) (レス) @page40 id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - 千と千尋ww 開き直れる主人公めっちゃおもろいです笑笑 (12月27日 0時) (レス) @page8 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - ふ、ふぇ??完結、、??この神作夜中に寝ている親の横で読んでいたから吹き出しそうになって危なかったですwそれと泣きました(( (12月4日 19時) (レス) id: 733585db8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EL | 作成日時:2021年5月14日 6時