呪いの王の生贄にされたから開き直って軽口叩いてみた

・ ページ26

夢主side





朦朧とする意識の中、宿儺様と目が合った。



「…ふむ。ついぞ俺のものにまで手を出しおったか。最近の呪術師は手に余る。」



宿儺様の殺気に押し潰されそうになるこの状況で、呪術師達は気丈にも攻撃体制に入る。

2人に牙を剥かれた状態でも、宿儺様は余裕そうだ。

特に私の存在を気に留める様子は無い。

……所詮そんなものだ。私など。



だが、もう一度あの優しい瞳で見てほしいと思うのは、我儘なのだろうか。



意地の悪い神様は、私が宿儺様に謝罪をする時間すら与えてくれない。



次の瞬間、私の口からゴポッ、と血が溢れ出た。



「…………あ…」

「加々美！！」


体が傾く。


何とか動いていた体にも、もう限界が来たらしい。









宿儺様…どうしてそんなに…、焦った顔で私を見るのですか……。


私は貴方を怒らせたのに…。









ほらやっぱり。貴方は優しい。








きっと今目を瞑ったら死んでしまうけれど…私は目を閉じた。

蠱毒→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す