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夢主side
こいつらはもう、失うものが何もない。だからここまで大胆になれる。
どんどん意識が朦朧としてくる。
「で、だ。両面宿儺はどこにいるんだ?今はこの蝶のおかげで目眩しが出来ているが、そう長くは保たないので早いところ暗殺に向かいたいんだが。」
呪術師達の周りを飛ぶ蝶。
あれがいるからこれほど呪力が使われておきながら、誰も気が付かなかったのか。
「…この屋敷には、いないわ…。」
「どういうことだ?」
不思議と口が動く。声がまだ出せる。
ならば最後にかましてみようではないか。
私は生贄にされたけど生き残った女だ。
こんな所で無様に死ぬなど、あってはならないのだ。
しぶとい雑草で結構。雑草ならば雑草らしく、最後までしぶとく噛みつけ。
「…残念だったわね!!!!宿儺様はこの屋敷にはいらっしゃらない!!お前達があの方に届く事など無いわ!!!じきに屋敷の人達がお前達の存在を知る!!そうすれば尚更、宿儺様に出会う事なくお前達は殺されるわ!!!」
「っ、何だとっ!!!」
「それに、宿儺様には味方が沢山いる!!!!お前達なんかに、宿儺様は殺せない!!!!このっ、役立たずの呪術師共め!!!子々孫々末代まで呪ってやるから!!」
「?黙れ!!!このクソ女が!!!死にかけならさっさと死に腐れ!!!!」
次の瞬間、男が私の頭を近くにあった木に思い切りぶつけた。
「かはっ……」
目の前がチカチカする。
本格的に、体の終わりを感じ始めた。
心残りがあったとするならば、宿儺様に最後まで、謝れなかったこと。
あの方は優しいから。
心から謝れば、許してくださったはずなのに。
私は何を能天気に考えていたのだろう。
「おいっ、あんまり暴れんな!屋敷の奴らにバレる!!両面宿儺がこの場にいねぇのなら、帰って来た時にその首を狙うべきだ!それまでは蝶に隠れながら大人しくしていよう!!」
「だってこいつっ!俺達を役立たずだって…!」
「うるせぇ!!と、取り敢えず今の所は誰にもバレてないから、こいつが死ぬのを待つんだ!死に行く女の戯言だ!!!気にするな!!!」
「誰がバレていないだと?」
「…、」
この声は………
「ひぃ!?」
「…現れやがったな!!」
不意に響き渡ったその声に、呪術師も反応する。
そうだ。間違いない。この声は……
「そっちから現れて来れるとは…待つ手間が省けた!!両面宿儺!!」
宿儺様だ。
「貴様ら、人の敷地で何をしている?殺される覚悟はあるのだろうな?ケヒっ」
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かな - うわぁぁぁぁぁ完結やばすぎてやばたにえん←え? (4月8日 4時) (レス) @page40 id: 944b8cf5cc (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー - え?これ、ハッピーエンド?これで完結だと?続編期待してます❗ (4月7日 20時) (レス) @page40 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
coco - 更新待ってまる (1月13日 5時) (レス) @page40 id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - 千と千尋ww 開き直れる主人公めっちゃおもろいです笑笑 (12月27日 0時) (レス) @page8 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - ふ、ふぇ??完結、、??この神作夜中に寝ている親の横で読んでいたから吹き出しそうになって危なかったですwそれと泣きました(( (12月4日 19時) (レス) id: 733585db8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EL | 作成日時:2021年5月14日 6時