忌み子 ページ3
夢主side
さっさと離れに追いやられ、朝から晩まで働かされ、食事も残り物だけの生活。
来栖家にまだ残っていた僅かな使用人たちからも疎まれ、仕事を押し付けられ、嫌がらせも受けた。
ずっとひもじくて、寂しかった。
だけど、それは仕方のないことだと分かっていた。来栖家では呪術が全て。術式を持たない利用価値のない人間など必要ないのだから。
いや、まぁだからこそちょっとやそっとじゃへこたれない丈夫な精神を手に入れられたわけですけれども。
とにかく、そんな生活を19年送っていて、一生このまま飼い殺しにされるのだろうと諦めていた矢先に、最近になって本邸の一部屋に隔離された。
体を磨かれ、食事を与えられた。
そう。
全ては生贄にする為だったのだ。
少しでも両面宿儺に満足してもらえるように美しく。
痩せ細らせては満足してもらえない。平凡の体型に。
父は私を蔑んだ目で見て言う。
「お前に拒否権は無い。それとも何か?まさか可愛い可愛い
「………いえ…」
蝶華というのは双子の姉の事だ。
前回私を訪れた時には、馬鹿にするだけ馬鹿にしてさっさと帰っていくというもはや苦笑いするしかない性格をされていた。
だが、そんな蝶華も名家のおぼっちゃまと結婚するらしい。
もう二度と会う事はねぇだろうなぁ。万歳。
「良いか。上の方々もお前を生贄にするということで一致しているのだ。無駄な抵抗はやめて、」
「………お父様、何を勘違いなさっているのかは分かりませんが、私は生贄となる事を拒否しません。」
「……なんだと?」
「人々を呪いから救う事が出来るのであれば、私は喜んで生贄となりましょう。」
「お前…」
なーんちって。
んな殊勝な事私が考えるわけないじゃん。
他人なんかどうだっていいわこうなったら。
こんな不当な扱いを生まれた頃から受けてりゃそりゃひねくれた性格になるわ。
もうこっちは自分の人生諦めてんだよ。
来世にかけてんだよ。
素敵な家族に素敵な旦那様を見つけてきゃっきゃムフフな人生を送るんだよ。
両面宿儺は生贄の頭を真っ二つにして即死させてくれるって聞いたから別に殺される事は怖くねぇっての。
「ふん、そうか。泣いて縋れば可愛げのあったものを。」
いや泣いて縋っても振り払うだけだろお前は。
「生まれるべきでは無かったお前が初めて役に立てるのだ。くれぐれも宿儺様の機嫌を損ねるなよ。」
「分かっております。」
はいぷっちん来ましたー。
地獄に堕ちろクソ親父。
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かな - うわぁぁぁぁぁ完結やばすぎてやばたにえん←え? (4月8日 4時) (レス) @page40 id: 944b8cf5cc (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー - え?これ、ハッピーエンド?これで完結だと?続編期待してます❗ (4月7日 20時) (レス) @page40 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
coco - 更新待ってまる (1月13日 5時) (レス) @page40 id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - 千と千尋ww 開き直れる主人公めっちゃおもろいです笑笑 (12月27日 0時) (レス) @page8 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - ふ、ふぇ??完結、、??この神作夜中に寝ている親の横で読んでいたから吹き出しそうになって危なかったですwそれと泣きました(( (12月4日 19時) (レス) id: 733585db8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EL | 作成日時:2021年5月14日 6時