・ ページ12
夢主side
玉葉と道久に着いて、布団を引き取りに庭を横断する。
庭園には敷石や橋がかけられた巨大な池、綺麗に整えられた木々が植えられており、広大な広さが窺えた。
「…凄く広くない?お屋敷も大きいし…。うちじゃ比べ物にならない…」
「そりゃあそうよ。宿儺様は呪詛師の最高位と言っても過言じゃないんだから。宿儺様と対等に話せるのはこの京の都でも………天皇様ぐらいかしらね。」
「…そんな凄い人なの…?」
私がまだ来栖家にいた時、周りの人達が両面宿儺を恐れる話しか聞こえなかった。
え。私が働く事になった人って、実は思ってたよりもやばい人なんじゃ…?
「あ、宿儺様だ。」
不意に道久がそう言った。
道久が見つめる視線を追いかけると、縁側には酒を楽しむ両面宿儺が座っていた。
玉葉と道久が跪こうとするのでそれに続く。
が、その前に両面宿儺が口を開いた。
「良い良い。仕事を続けろ。」
その言葉に玉葉と道久は立ち上がり、再び歩き出す。
なので当然私も歩み出そうとすると、両面宿儺が言葉を発する。
「昨日の娘。」
昨日の娘……
…もしや私の事か?
3人揃って後ろを振り返る。
両面宿儺の瞳は私を射抜いていた。
うん。私の事じゃん。
「どうだ。ここの仕事には慣れたか?まぁ、まだ1日しか経ってないがな。」
両面宿儺は楽しそうにケヒヒと笑う。
「何がおもろいねん。」
「貴様は運が良かったのだぞ娘。俺に殺されなくて良かったではないか。」
「私は殺して欲しかったんですけどね。」
「ケヒヒッ。その顔。愉快愉快。」
「趣味悪いですね。もしかして、加虐趣味がおありかな?」
「かもしれんな。…だからこそ、目障りな事をすればすぐに殺す。それまではせいぜい汗水垂らして働くが良い。こき使ってやる。」
「…これはあれですね?千と千尋的なあれですね?ここで働かせてください的な展開ですね?」
「なに?」
「まぁ仕方ないですね。宿儺様は私が生きている事を望んでおられる様子。働いてあげますよ。」
「おい裏梅。この娘、変な解釈をしているぞ。」
「宿儺様。その子は加々美という名です。呼んであげてくださいませ。」
「おい裏梅。どうした裏梅。お前そんな事を言う奴だったか?」
裏梅さんはにっこりと笑うだけ。
「…はぁ…。裏梅を味方につけおったか。もう良い。お前達、さっさと仕事に戻れ。」
玉葉と道久がお辞儀をするのでそれを真似て両面宿儺の御前を辞した。
2118人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かな - うわぁぁぁぁぁ完結やばすぎてやばたにえん←え? (4月8日 4時) (レス) @page40 id: 944b8cf5cc (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー - え?これ、ハッピーエンド?これで完結だと?続編期待してます❗ (4月7日 20時) (レス) @page40 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
coco - 更新待ってまる (1月13日 5時) (レス) @page40 id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - 千と千尋ww 開き直れる主人公めっちゃおもろいです笑笑 (12月27日 0時) (レス) @page8 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - ふ、ふぇ??完結、、??この神作夜中に寝ている親の横で読んでいたから吹き出しそうになって危なかったですwそれと泣きました(( (12月4日 19時) (レス) id: 733585db8f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:EL | 作成日時:2021年5月14日 6時