30 飴ちゃん ページ30
.
「俺の分も含めて2個買えって言ったよな！？
なんで紫耀だけ食べてんだよ！」
「あぁ…んと、
まあ買ったは、買ったんだけど」
「買ったんだけど？
なんだよ」
詰め寄られながらも、私を庇っているのか
口ごもる平野くん。
.
…ねえ、さっき言ってたよね。
その友達優しいから許してくれるって。
この人のどこが優しいの。
やはり食べ物の恨みは怖い。
.
「…プリンが脱走しちゃった、的な？」
「……おま、…プリンに足があるわけないだろ」
ごもっともな意見です。
平野くんはもうなす術がないのか、
シュンと肩を落としている。
.
これは正直に話した方が良さそうだ。
このままじゃ二人の友情に亀裂が入りかねない。
.
「あ、あの…」
私の声に、二人がこちらを向く。
平野くんは、私がしようとしてることが分かったのか
言わなくていいよ、
というように小さく首を振った。
でもそういうわけにもいかない。
元はと言えば、誘惑に負けた私が悪いんだし。
.
「……え、A？」
私の存在に気づくと、
驚いたような顔をして私の名前を呼んだ平野くんの友達。
相変わらず綺麗な瞳をしている。
.
.
＿＿そう、私はこの人を知っている。
この人も私を知っている。
.
「ごめん、プリン食べたの私なの」
「…え、あ、おう。
そっ、か。
…って、は？」
一瞬、許してくれるのかなと思ったけど
眉がまた寄ったあたり、そういうことでもないらしい。
.
「私の食べかけでよかったらあるけど…
どうする？」
昔はよく半分ことかしてたよね。
.
「え、いいの？
んじゃ遠慮なくいただきます」
本当に遠慮なく私の元からプリンを攫うと、
美味しそうに口に含む。
よほど食べたかったんだね。
本来なら食べられるはずだったんだもんね。
そんなに残ってないから、すぐ無くなってしまうんだろうけど
本当にごめんね？
心の中でもう一度謝罪した。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1698人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しおり - 更新頑張ってください！この作品大好きです！ (2017年8月31日 17時) (
レス) id: 4435d194ea (このIDを非表示/違反報告)
milk(プロフ) - 続きがすごく気になります！ がんばってください (2017年7月10日 22時) (レス) id: 171e64a391 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち(プロフ) - Ψ( ・ ・)Ψ碧海 さん» そう言ってもらえて嬉しいです(涙)頑張ります！ (2017年6月30日 15時) (レス) id: dc2e1c9eaa (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち(プロフ) - りこさん» ぜひ食べてください（笑）頑張ります！ (2017年6月30日 15時) (レス) id: dc2e1c9eaa (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち(プロフ) - 莉桜さん» ありがとうございます！完結に向けて頑張ります！ (2017年6月30日 15時) (レス) id: dc2e1c9eaa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴーち
| 作成日時：2016年5月22日 15時
