ご近所さんは吸血鬼。After【Hirano.S】

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「…ねぇ、質問に答えて？

人間は吸血鬼になれるの？」





目を真っ直ぐに見て、口をキュッと結び

いつになく真面目な表情をしている。





顔に"なれるって言って"って書いてあるよ。


分かりやすいよね、本当に。





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だけど、簡単に"YES"だなんて

答えられない。





言ったらAは当然

吸血鬼にしてって言うでしょ？





絶対になって欲しくない、と言えば嘘になるけど

俺はなってほしくない。





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Aはまだ吸血鬼の厄介さに気づいてない。

人間でいたほうが絶対にいいのに。





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＿＿俺が人間になれたら、どんなに楽なんだろう？


ふとした瞬間に、よくそう考えてる。






でもそんな方法ない。






だから、吸血鬼になりたいだなんて

言い出したんだろうけど。





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Aには人間でいてほしい。

俺が味わったような思いをしてほしくない。





血への欲求が抑えられなくて

大切な人を殺しそうになったり



ちょっと力を入れれば、相手が傷つくような体になる。





街なんか普通に歩けない。





自分の存在を許せなくなるんだ。




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今俺は自分を抑えられてるけど

完全に抑えられ続けるかって聞かれたら





答えはノー。





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訓練すれば、なんて言うけど

何年かかるかなんて分からない。





マイナスなことばかりなんだ。


わざわざそこに飛び込む必要はない。




今のままなら、俺さえ自分を抑えられれば

本当に問題ないんだし。






だから………。





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お互いにずっと目を見てたけど

先に逸らしたのは俺で。





少し笑いかけながらAに言う。





「…なれないよ」






驚いたような、ショックを受けたような

そんな顔をする。



ごめんね。





Aの頭をそっと撫でて、部屋を後にした。




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