3 ご近所さん ページ3
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「A、寝れないんでしょ?」
トンッとベッドに腰掛け、私にそう言う。
「うん。
覚めちゃったみたい」
朝からBBQやったり
川でビーチボールで遊んだりしてるから
疲れてるはずなんだけどな。
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「じゃあ、一緒に寝よ」
「な、っ」
い、一緒、に?!
ニッコニコで私に笑いかけてくるけど、
ちっとも笑えないよ。
余計眠気が覚めそうだし。
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「ほら
こっちおいで?」
首をコテンと傾けながら、そう言う。
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甘く
優しく
心をくすぐられるような声。
ついそっちに行きたくなってしまうような。
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「…ずるい」
「ん?」
そうやって、分からない振りしちゃってさ。
とぼけても無駄なんだから。
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「…力、使ってるでしょ?」
吸血鬼の誘惑ってやつ。
強力で、なかなか抗えないその力。
シゲのは跳ね返すことができたけど、紫耀のは…
無理かも。
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「バレちゃった?」
そう言ってお茶目に笑う笑顔にも、
胸がキュッとなる。
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「A、おいで」
「…っ、」
本当、ずるい。
その甘い声に誘われて、ゆっくりと足を踏み出す。
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ベッドに座っている紫耀の前に来れば
手を優しく引っ張られて
私が抱き着くような形になる。
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髪を優しく撫でられ
もう片方は私の手と繋ぎ、指が絡められる。
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頭を何度も往復するその手の心地よさに、
だんだんと瞼が落ちていく。
「眠い?」
「…うん」
それを合図に、フワッと体が持ち上げられて
いつの間にかベッドに横たわっていた。
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紫耀も私の隣に横になると、お互いに目が合う。
いつもとは少し違う、熱っぽい瞳に
吸い込まれそうになる。
思わず手を伸ばしそうだったけど、どうにか堪えて
そのまま紫耀を見る。
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「…目、閉じて」
聞こえてきたその声に従い、目を閉じる。
行動まで操られちゃうなんてね。
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真っ暗になった視界には何も映らないけど、
紫耀の手がまた優しく頭を撫で始めた。
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しだいに意識が遠のいていき
"おやすみ"という声と共に、眠りに落ちた。
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__HATSUKA__ - もし良かったら続きがみたいです!! (2017年9月26日 6時) (レス) id: b44eb22e04 (このIDを非表示/違反報告)
しおり - 更新待ってます。この作品今まで読んだ小説の中で一番大好きです。 (2017年8月29日 22時) (レス) id: 4435d194ea (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち(プロフ) - 廉梨プルさん» 亀更新すぎるのにそう言っていただけて嬉しいです(泣)ありがとうございますm(_ _)m (2017年6月27日 22時) (レス) id: dc2e1c9eaa (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち(プロフ) - ライムさん» お待たせしてしまいすみません(泣)そうなりますよね!笑笑 (2017年6月27日 22時) (レス) id: dc2e1c9eaa (このIDを非表示/違反報告)
廉梨プル(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!最高すぎます! (2017年6月27日 2時) (レス) id: d3a947e181 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーち | 作成日時:2016年6月18日 16時