1 ご近所さん ページ1
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「そろそろ帰ろっか」
たくさんの星が煌めく中で、
ギュッと抱き締め合っていた時
ふと、ハスキーな声が耳元で響いた。
顔が肩に乗っかってるから、唇が耳に当たり
ちょっと、…いや
かなりドキドキしちゃってたりする。
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「…うん」
取り乱してるのがバレないよう、そう返事をして
ゆっくり体を離した。
前を見れば、紫耀とばっちり目が合う。
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「…そんな目で見ないの」
一体、私はどんな目をしていたのか。
よくわからないまま
紫耀の手によって視界を遮られた。
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「行くよ」
優しく手を引っ張られ
絡められた手と共に、体も引っ張られる。
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真っ暗な山の中をいとも簡単に歩き
しばらくすれば、あっという間に家の前に着いた。
平野家の表札のところにセミが張り付き
ミンミンと鳴いている。
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「…セミだね」
「めっちゃ鳴いてる」
そういえば、小さい頃よく捕まえてたな。
紫耀と二人で競争したりしてさ。
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運動神経のいい紫耀は、高い木に登って取ったり
飛んでいくセミを素早く追いかけて取ったり。
…とにかく凄くて凄くて。
結局私がいつも負けてた。
しかもちゃんと罰ゲームがあって、
1つだけ何でも相手の言うことをきくっていう。
朝起こしに来てとか、おやつ半分ちょうだいとか。
わりと可愛いものだったけどね。
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「んじゃ、もう家に入んなさい」
頭を2回ポンポンして、
急にお母さんのように言ってきた紫耀。
「…はーい」
それに返事はしたけど
本当は、もう少し一緒に居たいなと思ったり。
…でも、今日は我慢する。
仲直りできたし、それだけでもう十分。
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「おやすみ」
「ん、おやすみ」
家の中に入ろうと一旦背を向けるけど
完全に入る直前に、パッと紫耀の方を向けば
優しい表情で手を振っていた。
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私も振り返すけど、
どうしてもある一点が気になってしまう。
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…頭に付いてるのは、さっきのセミですか?
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__HATSUKA__ - もし良かったら続きがみたいです!! (2017年9月26日 6時) (レス) id: b44eb22e04 (このIDを非表示/違反報告)
しおり - 更新待ってます。この作品今まで読んだ小説の中で一番大好きです。 (2017年8月29日 22時) (レス) id: 4435d194ea (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち(プロフ) - 廉梨プルさん» 亀更新すぎるのにそう言っていただけて嬉しいです(泣)ありがとうございますm(_ _)m (2017年6月27日 22時) (レス) id: dc2e1c9eaa (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち(プロフ) - ライムさん» お待たせしてしまいすみません(泣)そうなりますよね!笑笑 (2017年6月27日 22時) (レス) id: dc2e1c9eaa (このIDを非表示/違反報告)
廉梨プル(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!最高すぎます! (2017年6月27日 2時) (レス) id: d3a947e181 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーち | 作成日時:2016年6月18日 16時