表情のない空 弐

第伍拾参話 ページ8

Aside


『引き止めて頂いたのに申し訳ないな……。』


少し雲が掛かった青い空を見上げる。

お館様に辞める事を言うと今まで見たことが無いくらい慌てた様子で止めて頂いた。

決意した事を曲げるのは難しかったが、鬼殺隊を手伝える範囲で手伝いたいと伝えた。


少しすっきりしたかも……。


深呼吸をし、帰ろうとすると……柱がいた。

本能で足が止まり、震えだした。

しかし


私はもう鬼殺隊じゃなくなるんだ。

必要ないと言われることはなくなるんだ。


そう思うと自然と落ち着くことができた。


最後の挨拶くらい明るくないと。


『こんにちは、皆さん。』


「「「「「…!?」」」」」


みんな驚いている。

何故なら私が笑顔を向けていたから。


風「A…！俺たちお前に謝りたくて！」


初めて見る慌てた不死川さん。


『……結構です。私、もう鬼殺隊からいなくなります。なのでまた今まで通りに戻ります。人間関係や任務の邪魔をしてしまった私から謝りたいです。』


微笑んでそう言うと、深く頭を下げた。


『今まで迷惑をかけてしまい、申し訳ありませんでした。』


これでもうみんなは幸せに暮らせるよね。


そう思ったのにみんなは無一郎くんと同じ何かを言いたそうな顔をしていた。


どうしてそんな顔をするんだろう。

邪魔者がいなくなるっていうのに。


そんな顔しないでよ。




『……これは、貴方たちが望んだことでしょう？』



私は小さな声で呟いた。

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