第五話 小戯曲 ページ7
その一言で、様子を見るべくクラスメイトは廊下へ出て行く。全員が教室から出ると、僕も外の様子を見るために廊下へ出た。
「・・・これは」
目の前に広がるのは、崩れ落ちた瓦礫の山が行く先を塞いでいる絶望的な光景。途切れた線が閃光を光らせる度、甲高い悲鳴が上がる。
「―――爆弾だよ」
困惑して冷静な判断が出来ないでいる最中、先生の冷淡な声が背後から聞こえる。一斉に振り返ると、机の真上に立つ先生がいた。
「・・・先生が爆破させたんですか?」
「ピンポーン!因みにね、その上にもまだあるよ」
そう言って、先生は嗤うように僕達が居る廊下の真上を指差す。
「誰か、誰か助けて!!」
突如、冗談だと思っていたことが現実に起こり、恐怖の感情が支配する。一人の生徒が瓦礫の向こうへ助けを求めるが、返事は返って来ない。
「無駄だよ」
僅かな希望を打砕くかのように、先生はゆっくり手を叩く。
「さあ、教室に戻ろうか。また爆発しないうちに」
「今の爆発で君達は、この教室と隣の美術室。そしてトイレ以外は行けなくなった。完全に退路を断たれたことになる」
教室へ戻ると、先生は黒板に校内の地図を広げる。それから、赤のチョークを手に持った先生は、先程目にした廊下に斜線を引く。
「え、これドッキリだよね?」
未だに信じていない子が震えた声で言うと、先生は目を細める。
「勿論、
先生が目で負った数は三つ。この教室の真下、反対側の壁。そして、天井。
「分かったら、席に着こうか」
有無を言わさない威圧感に、皆は席に戻り出す。それを待っている間、先生は外を傍観するように眺める。
「おーー、走ってる走ってる。もう2、3個爆発させないと緊張感でないと思ったけど、結構皆必死に逃げてくれるね」
――――ああ。
これは、先生が執筆した
登場人物は、僕達3年A組。僕達は、舞台上で動くキャラクター。
皆が携帯を取り出す中、僕はつい笑顔になる。
狂気に充てられたからか分からないが、音楽を聞いている時と同じように気分が高揚する。この状況をどこか待ち望んでいた自分が居る。
この人なら―――柊先生なら、澪奈を追い込んだ何かを、そして僕を変えてくれる。
そんな、気がした。
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蒼炎(プロフ) - とても面白いです!主人公と柊先生の絡みが物凄く好きです!続き待ってます!お願いします!! (2021年4月20日 22時) (レス) id: bdaf0ebad8 (このIDを非表示/違反報告)
葉紅(プロフ) - もう更新しないんでしょうか?すごく面白いので続きが見たいです。更新楽しみにして待っています! (2020年9月27日 1時) (レス) id: 915a610475 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - もう更新しないのでしょうか?是非、待ってます! (2020年9月7日 21時) (レス) id: 62727f5aad (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 物凄く大好きです!これからも頑張ってください!楽しみに待ってます!! (2019年4月6日 15時) (レス) id: 4cf65d0de3 (このIDを非表示/違反報告)
九重 - じわじわと男主を喰っていく柊先生(精神的に)ドロドロとした独占欲が堪らない!堪らない!ありがとう!ありがとう! (2019年3月28日 23時) (レス) id: b60eca276a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空天 馬 | 作成日時:2019年1月13日 0時