第四話 人質宣告 ページ6
先生は教卓に手を置いて、大切なお知らせがあると告げる。
「今から皆さんには、人質になってもらいます」
いつもなら教室中に笑い声が巻き起こる頃だが、今日はスケールの大きい言葉に、困惑して一人の生徒が聞き返す。
「・・・人質って、どう言うことですか?」
「俺の目的が達成するまで、皆にはこの教室に居てもらう」
一瞬の沈黙が走り、そして―――今まで抑え込んでいた笑いが噴き出す。
「ぶっきー、滑っちゃったね」
「ねえ、もしかしてさあ。卒業に関わる重要なことってコレ?」
そう、僕がこの教室へ来たのはその為だ。
僕達は残り10日で、高校を卒業をする。
あの時、彼女の言った通り、卒業に関わる重要な話があるから必ず来てくれ、と先生に耳元で囁かれたからここへ来た。
でないと、僕がここに来ることは無かっただろう。
「そうだよ。卒業する前に、是非。皆で解決して起きたいことがあって」
真剣な表情で告げられた言葉に、僕の前にいる甲斐君が乱暴に席を立つ。
「アホらし。帰るぞ」
「さよーなら!」
続けて石倉君が席を立ち、ドアに手を掛ける。が、ドアは微々たる動作も見せずに、音を立てるだけだった。
「扉は開かないよ。特殊な鍵を、掛けたから」
「・・・さっきからわけわかんねぇことばっか言いやがって。さっさとドア開けろ!」
遂に堪忍袋の緒が切れた甲斐君が、先生の胸ぐらを掴み上げる。
―――その瞬間、先生の纏う空気が変わる。
あの時と、同じだ。
先生は掴まれていた腕を捻ると、甲斐君を教卓に押さえつける。
「こんな物騒な物、持ってきちゃダメだろ?・・・没収だ」
驚いたことに、甲斐君のポケットに折り畳みナイフが入っていたらしく、先生はポケットからナイフを取り出す。
「ッ調子乗ってんじゃねえ!!」
「調子に乗っているのは、お前の方だろ」
抑え込んでいた甲斐君が暴れ、拳を振り上げると、先生は甲斐君を地面に抑え込む。続けて、先生は慣れた手つきでナイフを華麗に回す。
そして――――振り下ろす。
「どうやら、まだ状況を呑み込めていないようだな。なら・・・」
これでどうだ、と言って、先生は腕時計に軽く触れる。
―――その瞬間、大きな爆発音が教室中に轟いた。
蛍光灯が激しく揺れ、混乱する生徒の前で一人、先生は落ち着いてドアの向こう側を指差す。
「ロックを解除した。廊下に出られるよ?」
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蒼炎(プロフ) - とても面白いです!主人公と柊先生の絡みが物凄く好きです!続き待ってます!お願いします!! (2021年4月20日 22時) (レス) id: bdaf0ebad8 (このIDを非表示/違反報告)
葉紅(プロフ) - もう更新しないんでしょうか?すごく面白いので続きが見たいです。更新楽しみにして待っています! (2020年9月27日 1時) (レス) id: 915a610475 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - もう更新しないのでしょうか?是非、待ってます! (2020年9月7日 21時) (レス) id: 62727f5aad (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 物凄く大好きです!これからも頑張ってください!楽しみに待ってます!! (2019年4月6日 15時) (レス) id: 4cf65d0de3 (このIDを非表示/違反報告)
九重 - じわじわと男主を喰っていく柊先生(精神的に)ドロドロとした独占欲が堪らない!堪らない!ありがとう!ありがとう! (2019年3月28日 23時) (レス) id: b60eca276a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空天 馬 | 作成日時:2019年1月13日 0時