第十一話 資格の時間 ページ13
「さらに頑張って増えてみました。さあ、授業開始です」
中間テスト前日。あろうことか、黄色い生物はさらに増えていた。残像交じりの分身は、かなり雑になっているし、心なしか雑念が生じている気がする。
「……流石に相当疲れたみたいだな」
授業終了の鐘と共に、黄色い生物は教卓に凭れ掛かり息を乱しながら休息を取り始めた。疲れるのも無理もない。一人に何体もの分身を付け、それを27人分。
岡島はそんな黄色い生物を見て、何でそこまでするのか問う。
すると、黄色い生物は特徴的な笑い声を上げた。
「ヌルフフフ。全ては君達のテストの点を上げる為です」
黄色い生物の思い描くビジョン。己によって良い点が取れた生徒達は、尊敬の眼差しを己に向け、評判を小耳に挟んだ女子大生が集ってくる。
加えて、殺される危険も無くなりWin-Winの関係を築ける。
「……いや、勉強の方はそれなりでいいよな」
「うん。なんたって、暗殺すれば賞金百億だし」
百億円があれば、成績が悪くても大丈夫、か。何ともまあ素晴らしい絵空事に、眉間に皺が寄ってしまう。
「俺達エンドのE組だぜ、殺せんせー」
「テストなんかより、暗殺の方がよほど身近なチャンスなんだよ」
ああ、そうか。
根元から腐食していたのか。
本校舎からの扱いを否定しないのも、その待遇を何処かで受け入れ、それが当たり前になっているからだったのか。
腹の底に湧いた怒りが止まることなく膨らみ始めた、その時―――。
「成る程、よく分かりました」
黄色い触手が、俺の頭を軽く撫でる。柔らかな感触に気を取られていると、黄色い生物の顔が見る見るうちに×の模様に変わっていった。
「今の君達には、暗殺者の資格がありませんねぇ。全員、校庭に出なさい」
烏間先生とイリーナ先生も呼んで、と付け足して黄色い生物は俺達に背を向ける。指示通り、教室から全員が出て行くのを見届けると、俺もその後に続いた。
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朔(プロフ) - 今更なんですがとてもハマりました。これからも応援しています。 (2021年5月23日 2時) (レス) id: 0cbe8ba716 (このIDを非表示/違反報告)
腐女神だぜ☆(プロフ) - コメ失礼します。主人公がくっそかっけえです。これからも更新頑張ってください。応援してます。 (2019年8月16日 20時) (レス) id: b63828eb3d (このIDを非表示/違反報告)
浅野月愛(プロフ) - 初コメ失礼します!いつも天霧くんのカッコいい行動にドキドキさせられています、これからも更新頑張ってください!(急かすつもりとかはないので) (2019年8月15日 11時) (レス) id: e6ca85b3e9 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 続き、楽しみにしています。 (2019年3月31日 22時) (レス) id: 67a2382333 (このIDを非表示/違反報告)
御子柴(プロフ) - 好きです!!!! (2019年2月23日 3時) (レス) id: 5350486dcc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空天 馬 | 作成日時:2019年2月14日 4時