零番目の失敗作＿＿Ⅲ (ページ20)

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105…なぜなら俺はページ20

驚いているボクと真昼の前に立ち上がったのは、血まみれのリヒトだった
「！！」

「てめえは今、俺と戦ってんだろうが」

「…もう腕も上がらないだろうピアニスト君
オジサンはここで君を殺すつもりはないんだけどなあ
君がそこまで彼らを庇う理由なんて…」

睨み付けるリヒトとは裏腹にへらりとした笑みを浮かべているヒガン

「うるせえよ理由なら簡単だなぜなら俺はピアニストだからだ」

「リヒト…」
血まみれのリヒトは武器を使い地面に模様を描いていく
「聴衆がいなきゃピアニストでいられねえだろうが
腕が上がらないことなんてピアノが弾けねえことにならねえ」

その模様はだんだんとピアノの鍵盤の形になった
リヒトは鍵盤の上に乗る
ポーンと軽やかな音が鳴った
その姿は凛々しくて頭から血を出して立っていることもやっとな人ができることなのかと目を疑う
見せつけるようにリヒトはニイと笑う

「…素晴らしい創造性
守るものがあるほうが強くなるタイプに見えなかったんだけどなあ…」
リヒトの敵意に反応してヒガンは構える
「強い目だ…描きたいな年甲斐もなく燃え上がってしまいそうだ」

その瞬間燃え上がる炎がボクらを巻き込んだ
聞こえてくる音楽に夏の炎天下に燃え上がる炎
加勢しようとしたがそれはピアニストの手によって塞がれた
「お前は客だ黙って座ってろ」

そう言った彼の目は吸い込まれそうなほどに澄んでいた