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入学式から3週間ほど経った。

そろそろ5月に差し掛かる。




「今日な、お昼休みがめちゃ楽しみやねん」

「何かあるの?」




隣の席に座るAとも大分距離が縮まったと思う。

したくもない勉強をめちゃくちゃ積極的に教えてもらいにいった甲斐があったわ。





「20個限定でトロ入りのおにぎりが購買で発売されんねん」

「おにぎりが好きなの?」

「いや、トロが好き」






席替えのクジ運はほんまに良かったと思う。

Aとは仲良くなれるわ、俺と雪で囲むような構図のおかげで他の輩にAと会話させる隙を与えんわで、未だにAに告白するようなやつは出てこんかった。







「Aは食いもん、何が好きなん?」

「ポップコーン」

「ポップコーン!!?このベタな質問にポップコーンて答える人初めて見たわ」

「ポップコーン舐めたらだめだよ?めちゃくちゃおいしいからね?映画館とかポップコーン食べるために行くようなもんだよね」

「珍しいなぁ」





キーンコーンカーンコーン

そうこう話しとるうちに4限の終わりのチャイムが鳴った。





「ほな、ちょっくら買うてくるわ」

「いってらっしゃい」






20個しかないおにぎりをゲットしに、購買へとダッシュする。

そういえば、雪がなんか昼休みに集まれ言うとった気がしたけどお構いなしや。







無事、限定トロ入りおにぎりをゲットした俺はとても満足しとった。

教室の光景を見るまでは。








真っ先に視線を向けた俺の席

そこに座る見慣れた銀髪

なんやAに話しかけてるのが見えた。







満足感でいっぱいやった俺の胸に、一瞬で広がったモヤモヤ

不快になっていくのが、すぐに分かった。

サムのやつ、俺の席で何しとんねん。








「だってツムが「おい、サム」なんや、タイミングよく戻ってくるなぁ」








そう言って俺を見上げたヘラヘラしたサムの顔に少しイラついた。







「限定のトロ入りおにぎり買えた?」

「おん、買えた」









イライラを感じてしまったら止められん俺の悪い癖

話しかけてきてくれたAに対しての返答も無愛想になってしもた。






雪に身長体重を教えろと言われて、言っとったんはこれかと分かった。

せやからサムもここにおったんか。

その理由を分かっても、イライラが治らなかった。






「すまんな、Aちゃん。じゃあまた」






じゃあまた、ちゃうねん。

そう言って立ち去るサムの後ろ姿を睨みつけた。

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作者名:にゃん吉 | 作成日時:2020年2月13日 16時

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