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「それにしても、やけにAに話しかけとったな」
初めてのHRが終わって、その日は解散
一緒に帰っとるんは、サムと幼なじみの雪
「Aって、永瀬Aか？」
「治も知っとるん？」
「いや、同じクラスの男子が噂しとったわ。3組に東京出身の美人がおるいうて」
「確かにめちゃかわええもんな。プラス東京ブランドやし、そりゃ男らは黙っとらんわ」
もう学校中の男子に知れ渡っとるんか。
これは誰かが告白するんも時間の問題や。
ゆっくりはしておれん。
「ツムが初対面の女の子に話しかけに行くなんて珍しいな」
「それな、しかも男バレのマネにならんかって誘ってたわ」
「ますます珍し。俺もツムをそこまでさせる永瀬Aのこと拝みに行こかな」
二人してやかましいなぁ…
「わざわざ見に来んでもええやろ」
「何不機嫌になっとんねん」
「まあまあ、もうこの話やめましょ。このまま行ったらまたケンカになる」
お前が話振ったんやろが、と止めに入った雪にも少しイラついた。
何を焦ってんやろ、俺
『雪ちゃんの言う通り、吹奏楽部に入ろうと思ってるから…ごめんね』
そう言って、申し訳なさそうに俺の申し出を断ったAの顔がよぎった。
自分で言うのもなんやが、俺はようモテる。
今までは、近寄ってくる女はもちろん、俺に興味なさそうやった女でも俺が誘えばコロコロと意見を変えるような奴が多かった。
Aは俺に興味がありそうでもなさそうでも無くて、自然体
それに自分が選んだ選択肢を相手によって変えたりせえへん。
断り方も、相手が不快にならんように丁寧に断る。
ええ女や、と思うた。
一目惚れした贔屓目が確かに入っとるかもしれんけど。
もっとAのことを知りたいと興味が次々と湧く。
と、同時に、俺がこう思うんやから他の男も黙っとらんという事実を痛感する。
もしかしたらサムもその一人かもしれん。
焦るなぁ、
俺にとってみれば、Aに近づく男は全員敵や。
絶対、Aは俺に振り向かす。
もっとAと仲良うなりたい。
そう思うた。
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作者名：にゃん吉 | 作成日時：2020年2月13日 16時
