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日が差し込む窓際の一番後ろの席
うたた寝してもバレなさそうな特等席が当たってラッキーだと思った。
「お！後ろの席、Aか！」
「雪ちゃん！やったー！」
前の空席にやってきたのは先程仲良くなった雪ちゃん
自己紹介を終えて始まった席替えのクジ
残るは隣の空席
「なんや、私の斜め後ろの席お前か！」
だんだんと近づいてくる金髪の男の子
「斜め前がお前なん、ついとらんなぁ」
「うるさ」
はぁ、とため息をつきながらドカッと座った侑くん
「今朝はどーも、よろしゅう」
「…よろしく」
さっき雪ちゃんは根は優しいって言ってたけど、やっぱり侑くんは少し怖いと感じて緊張した。
「名前で呼んでもええ？今朝のこともこれも何かの縁やと思うし、仲良くしよや」
「いいよ、私も下で呼んでたし」
「侑、今日はなんや積極的やなぁ」
「やかましいわ、雪んこは黙っとれ」
「雪んこ言うな！！」
雪ちゃんには当たりが強い侑くん
怖いと思うのは、ノリとかが東京の男の子と違うからかもしれない。
「A、バレー興味ない？」
「んー、そんなにないかな…」
「ほうか、一回マネージャーしてみいひん？」
「Aを誘っても無駄や、もう吹部入るて決めてるみたいやし」
「せやから黙っとき、雪んこ」
「雪ちゃんの言う通り、吹奏楽部に入ろうと思ってるから…ごめんね」
「ほうか、」
心なしかシュンとした様子の侑くん
「残念やったな、侑。まぁ、私がおるから元気出しや」
「お前もええけど、プラスAが欲しいねん」
「ストレートに言うなぁ」
ﾄﾞｸﾝ
やっぱり少し怖いと思った侑くん
でもそれは今まで出会ってきた男の子と少し違うからかもしれない。
背がすごく高くて、体格もガッシリしていて、金髪の男の子
それでいて、自分の思うことにとても素直で従順な男の子
怖いと思って感じた緊張
『Aが欲しいねん』
その言葉に心臓が高鳴ったのは、その緊張のせいだろうか。
ﾄﾞｸﾄﾞｸと高鳴り続ける胸の奥深くに、緊張とは違う何かが芽生えたような気がした。
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作者名：にゃん吉 | 作成日時：2020年2月13日 16時
