お前が好きや。【宮侑】 (ページ3)

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同じクラスの宮侑くん

今朝、私のイヤホンコードが絡まってしまった男の子の名前

背がすごく高くて、体格もガッシリしていて、金髪の男の子の名前

今日は高校の入学式

中学3年の夏、お父さんの転勤が決まったので兵庫県の高校に進学することになった。

そして、先月の終わりに東京のみんなとお別れして引っ越してきた。

新しい土地、新しい家、新しい生活

まだ慣れないなかで、今日から始まる高校生活にワクワクしていた。

そんな矢先のイヤホン絡まり事件

通学通勤の人たちでパンパンな満員電車

学校の最寄り駅は思ったより降りる人が多かった。

その人混みに身を任せて流されるように降りようとした時に感じたグッと耳が引っ張られる感覚

すぐにイヤホンが引っかかってしまったのだと気づいた。

「え、あっ…どうしよっ…すみません…！！」

早く外そうと思うと、より焦ってしまって絡まるイヤホンコード

ちらっと背の大きいその人を見上げると、真っ先に金髪が視界に入ってきた。

「(やばい…この人ヤンキーだ…っ)」

身の危険を感じつつ、早くこの人の元から去りたい一心で奮闘するも絡まる一方のイヤホンコード

この時ほど、自分の不器用さを憎んだことはなかった。

そんな時、突然手を掴んだ大きな大きな手

そのまま一緒に駅に降りた。

「降りていただいてほんとすみませんっ…！！すぐ外すので…！！」

終わった。

この人を降ろしてしまったことに申し訳なさを感じたけど、何よりこのヤンキーから安全なおかつ瞬時に距離を離してくれる電車が行ってしまった。

イヤホンコードを外しても少なからず会話をする必要性が出てきてしまった訳で、あえてこのままイヤホンコードを外さない方がいいのではなどという血迷った案を提示してくる私の脳内

いやいや、時間をかければかかるほど身の危険が増すわと突っ込んで今一度手元に集中する。

ああもう、どういう絡み方してんだこれ。

「あの、そんな焦らんでええですよ。俺ら同じ学校みたいやし。」

「え？」

上から降ってきた少しイラつきを含んだ関西弁

おなじがっこうみたいやし？

改めてよく目の前の制服を見てみると確かに同じデザイン

「え、ほんとだ…すみません」

完全に終わった。

降ろしてしまったことはまあ結果オーライだとしても、このヤンキーはこれからもずっと同じ学校だという絶望的な新事実

私は愛想笑いを浮かべるしかなかった。

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