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第四十話 ページ42

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「…俺は中学でも高校でも、県内ではそこそこ通用してたと思ってます。エースっていう自覚も自信もありました。

でも全国で上へ行けば行く程、相手はより大きく・より速く・より賢かった。俺は小さい代わりに技術で勝負するんだって思ってました。でも、小さかろうが大きかろうが技術を磨いた奴が技術を持っている。

世界は平等じゃなくて、平等だ。
それを、星海はとっくに、」




世界は平等じゃなくて、平等


本当にその通りだと思った。

人はそれを、自分より大きいものや強いもの、受け止めきれないものに出会って初めて、自分が小さく弱いと自覚する。


でもそれを知っているのは星海くんだけじゃない。


自分の前に立ちはだかった『壁』と、向き合った者全員が知ること。





「…星海くんは、ほんとに全部上手いですね」

「そうだね…」




サーブだって、身体の向きとは逆にスパイクを打つ技術だって、チームとしてのブロックだって

どれだけの練習を重ねてきたんだろう。

どれだけの壁に立ちはだかられたのだろう。




「んもーっ!『5番ヤバイ、5番なんとかして』ってなってるとブロックがグワッと来んのなに!!どっちかにしろっての!」




冴子さんの言ってることはよく分かる。



日向くんとは違った星海くんの存在感


日向くんが烏野の『最強の囮』でチームを助けるなら、

星海くんは鴎台の『最強の味方』、かな…


鴎台のハイレベルなブロックに加えてハイレベルな星海くんの攻撃、それにあまり穴が見当たらない。

つまり、隙がないんだ。




「鴎台はデディケート・シフトに変えてきたな…」




月島さんの言葉に気づいて、よく見てみるとライト側がガラ空きだった。


確かに今のローテだとライトからの攻撃は無いけど、センターはまだ可能性がある…


全体を捉えてる飛雄がそこを見逃すわけがない。


思った通り飛雄が上げたのはセンターの月島くん




「ブロック、ついてくる…2、いや、うわ、3枚…」

「ういっ!?」

「あ"ぁっ!?」



〔烏野のセンター線を捕えた鴎台ブロックー!!〕




センターから来る可能性を常に念頭にあったからこその反応…



「だとしても3枚も付いてくるなんて…」

「シンプルに怖いなぁ」



これが全国レベル


バレーボールは『繋ぎ』の競技


攻撃においても、防御においても、


連携がよりできているチームがより強い。






ピーッ


烏野 20-25 鴎台

第一セットは鴎台の先取で終了した。







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作者名:にゃん吉 | 作成日時:2020年1月21日 23時

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