130 After Story side you ページ30
日常から思い返す激動の記憶は
どこか曖昧で
それでいて気高くて
だからこそ
貴重だったと思えるような気がする。
今朝の空は随分と綺麗だった。
「Aごめん、ランチ…八木と行って来る」
「ふふ、ごゆっくり？」
気紛れで向かった屋上。
そこから見上げた空は、朝よりも濃い青だった。
「A？」
「あ、居たの？」
声が届いたベンチスペースの反対側。
通気口が並ぶエリアで
フェンスにもたれながら一服していた登坂。
「吸う？」
「ううん」
煙が、空に流れて行った。
「…いい天気ね」
「だな」
そこに浮かぶ雲は
あの河原から見上げる雲と同じ。
ゆったりとした流れの中で
少しずつその形を変化させる。
「身体、もう大丈夫なのか？」
「おかげ様で」
舞い上がる煙草の煙に
バルコニーの隆二を映していた。
「俺さ、もっと早く隆二と知り合いたかったな」
「…え？」
「いい
「…ふふっ、そうね？」
「…素直じゃん」
「まぁ、ね？」
不思議な感覚だった。
穏やかに笑みながら煙を吸い込んだ登坂。
その笑顔の根底にはきっと
全てを把握した上で
たくさんの意味が込められている、
そんな気がした。
―良平ッッッ！！！
―A？どーした？
課長っ！黒澤課長ッ！！！
―A、分かる？
―…白濱？
―ちなみに
…たまたま残業してただけだから
「登坂」
「ん？」
「私、あんたの同期で良かった」
「は？」
「…ありがとね？」
一瞬の間と
反応を見せた眉。
「…はは、どういたしまして？」
観念したかのように
空に向かって煙を逃したその横顔。
“いい
あんたもね？、と、心でつぶやいたのは
秘密にしておく。
「そろそろ戻る？」
「もうそんな時間？やべー、さぼりてぇー」
「ふふ、学生じゃないんだから」
―あ、そうだA、資料できてる？
―出来てるわよ？
―明日、岩田んトコ行こうと思っててさ。
―そうなの？先に処理したの正解ね。
「なぁA」
「ん？」
「俺さ。…お前の同期で良かったよ」
「え…」
「ありがとな、A」
私は同期に恵まれた。
「…ふふ。……どういたしまして？」
濃い青の空。
ゆったりと流れる雲。
偶然過ごす事になった同期との時間は
そんな時間だった。
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mijeong0102(プロフ) - 初めまして！こちらのシリーズ、どれも大人の恋と切なさがほのかに残る素敵な作品で一気読みさせて頂きました！素敵な世界観に引き込まれてしまいました！良ければで大丈夫ですのでnightの主人公ちゃんと臣くんの番外編も読んでみたいなと思いました！ (2月23日 9時) (
レス) id: 0aaf151c2a (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ひーちゃんさん» ありがとうございます(^^)/期間がかなりかかってりまったにもかかわらずお付き合い頂いて嬉しいです！こちらこそです(*^^*)新作も頑張りますのでまたよろしくお願いします^^♪ (2021年1月31日 14時) (レス) id: a234024cbd (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - kotaさん» お付き合い頂きありがとうございました(*^-^*)Loveが一番あった〜く終わった気がします^^読み返しありがとうございます！嬉しいです(*´▽｀*)こちらこそいつもコメント頂いて嬉しいです！助けても頂きました(^^;またよろしくお願いします♪ (2021年1月31日 14時) (レス) id: a234024cbd (このIDを非表示/違反報告)
ひーちゃん(プロフ) - 完結おめでとうございます！Overシリーズがこれで終わってしまうと思うと寂しさもありますが、素敵なさくひを書いてくださりありがとうございました(；ω；)新作も楽しみにしています！ (2021年1月31日 4時) (レス) id: 8118e58a29 (このIDを非表示/違反報告)
kota(プロフ) - 素敵な終わりでした〜ヽ(*´∀｀)八(´∀｀*)ノ 家族みんなが幸せを感じ、二人の愛が重なりあい愛を超えて。Over Love 最高級！ 三部作はじめから読み返します。でも寂しいーーー！いつもお返事頂き嬉しかったです。新作にもどっぷりハマってます。 (2021年1月30日 17時) (レス) id: 8448788f30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空
| 作成日時：2021年1月10日 8時
