Over Love 3

124 ページ24

登坂も同様
ハードな4日間だったはず。

そのフォローをも紗希がしてくれたお陰で
私は大阪で集中出来たのよ？


「Aさん…」


とうとう堪え切れなくなった紗希。


「よしよし！偉いぞー紗希！」


紗希を抱きしめていた私は

その肩越しに

営業部の島で良平と抱擁する登坂と目が合った。


　“サンキュー”


「ふふっ。ほら紗希、登坂と一緒に帰りな？」









二人の背中を見送り
微笑ましさと切なさが顔を覗かせた21時。


「黒澤課長、コーヒー飲みます？」
「ああ、貰おうかな」


濃いめのコーヒーを淹れながら
LINEを開いた。


4日間も連絡出来なかったなんて

世の中の恋人間で
そんな不道理な話が通用するだろうか？


しかも、昔の恋人と出張だというのに…。



「………」



なんて送ればいいのか考え抜き
打ち込んでは消すを繰り返して

最終

送った内容は「ただいま」だけなんて。



情けない自分にため息をつきながら
コーヒーに手を伸ばした時

スリープしたばかりの画面に返信が届いた。



「…ふふっ」



どうやら私の婚約者(フィアンセ)は

こんな私を許してくれるらしい。



　――おかえり。不良娘。



隆二に会いたくなった。

なんて、

絶対に本人には言わないけど



今度その香りに包まれるときは
素直に甘えよう、

そう思いながらデスクに戻った。









それから一週間ほど続いた関連業務。

タクシーで帰らなければならない日々だった。


帰宅しては爆睡し

帰宅しては爆睡し

一滴のアルコールすら受け付けず
栄養ドリンクに頼る日々。


休日だろうがフルメイクで出社したその一週間は

体感、あっという間だった。





「A、今日はもういいぞ？」


フロアの灯りが節電モードに切り替わる事なんて
もう当たり前になっていた。


「落ち着いたらメシ奢らせてくれよ？」
「気にしなくていいのに」
「はは、上司(・・)ぶらせろよ」



そう言いながら良平の手が私の肩に触れた時。



「えっ…」



目の前で起きた想定外な状況に

私の頭は追いつく事が出来なかった。






なに？






夢？






「…良、平？」









　





　 ―――良平ッッッ！！！





　







　






　 A？どーした？

　 課長っ！黒澤課長ッ！！！









　






　
かすれる視界と意識の中で蘇る

あの頃の会話………







　“俺が死んだら、どうする？”

　“そんな事、冗談でも言わないで”

125→←123　After Story　side you

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す