Over Love 3

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慌てて母の顔を見ても

何もわからなくて




もう一度見合い相手の顔を見ても

間違いなく隆二で




今度は見合い相手の隣を確認したら

そこには
おじさんとおばさんが居て…






「経営者(・・・)の今市隆二です」


　


　―経営者さんでね
　―親御さんとの同居も必要なくて………





言ってたけど…

確かにお母さん、そう言ってたけど！！！





「ふふっ、Aちゃん、お久しぶり」

「あっ、お…お久しぶりです、おじさん、おばさん」





意味が解らない。

状況が理解できない。




みんな笑ってる。



嬉しそうに、楽しそうに、幸せそうに

見合い相手(・・・・・)だけは、はにかみながら…。








「お…お母さん…」


貴方の娘は今、

あなたに、母親のあなたに

すがる思いで助けを求めているのよ？




「……お父さん…」


なんでお父さんが目、真っ赤にしてるのよ…。








やけに爽やかに香り立つ桜湯。

気負いすることなく笑う母とおばさん。








やけにアットホームな空気感の中
見合いは、マニュアル通りに進んでいく。



「Aさん(・・)？」
「っ…」


なにがAさん(・・)、よ。



「ご趣味は？」
「えっ？ご…ご趣味？」



何なの？



「……仕事です」
「へー？酒じゃないんだ」
「はぁっ？」



何なのよ！！



「あははっ、てっきり酒が趣味なんだと思って
　コレ(・・)、用意したんだけどなー？」

「……っ！！」



視界にソレ(・・)が入った途端、息が詰まった。




「ほー、隆二君、どこの？」

「フランスです。
　辛口の白なんですけど中々出回らなくて…」



　―中でも私が気に入ったのは
　 フランス産の白。

　―辛口でふくよかな重みがありつつ
　 最後に鼻から抜けるフルーティーな爽やかさが
　 絶妙だった。



馴染みがあるはずなのに
そのボトルを見たのは初めての事だった。

だって…


「ハーフボトルしか無かったんですけど
　どうしてもフルボトル(・・・・・)で飲ませたい女性(ヒト)が
　居まして…」









バカ隆二………。









　




「では…後はお若い者同士で…」

「えっ…待ってお母さん」



ふふっと笑った母。



「A、ライバルは美桜よ？」
「え？」

「大人になったら隆くんと結婚するんだって」
「っ！」

「ぐずぐずしてらた美桜に取られるわよ？」

　“隆二君と美桜、両想いだものね？”



　

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