Over Love 2

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「ちょっと待って？してないの？」
「してないよ？」

「うそっ、そこまでしといて？」
「菜奈、言い方…」



…なんて言ったけど、私だってそう思う。

そこまでしといて止めるって

多分…ううん、
相当理性を働かせたんじゃないかと。



でも、だからこそ

その後に続いた白濱の言葉から
逃げられなくなったのも事実で。








　









「Aは、さ」


動きを止めた白濱は
私の左手の小指を握った。


「この人が…好きなんでしょ？」

「えっ…」

「これ以上したら、絶対後悔するよ？」


微笑みながらそう言って
その手が今度は耳に触れた。


「好きなんでしょ？」

「白濱、私…」

「A」


怒っているわけではない。
悲しんでいる感じでもない。


どこまで気づいてるんだろう。
どこまで察してるんだろう。



「俺はAが好き。Aは、誰が好きなの？」

「わ…私は……」









隆二が好き。









「怖いの？」
「えっ…」

「幼馴染なんだよね？その人」
「……」

「今の関係が壊れるのが、怖い？」
「そ…そういう訳じゃ……」

「A」



そう囁いた白濱は
私をもう一度抱き寄せた。


私は白濱に
強く、強く、抱きしめられた。




誤魔化しても苦しい。
壊れても苦しい。


だったら

進める道を選べ、と。




「でも今日は帰んないでね？
　夢の中だけでいいから、俺のAで居て？」




これが

俺が進める道だから、と。






　







　









　




「そこまで言われて
　よく白濱になびかなかったわね？」

「そうね…」


なびかなかったと言ったら
ウソになるかもしれない。

白濱には何度も助けられて
想いを伝えられて

その度、心に何らかの動きがあったのは事実だ。

でも


「隆二君て、よっぽどいい男なのね…」


多分、そう。

ううん、多分じゃなくて、そうなの。



「A、解散しよっか？」
「え？まだ早くない？」

「だからよ。早く行ったら？行きつけのBAR！」

「菜奈…。
　最初からそのつもりだったわよ？」

「そうでしたかそうでしたか。
　ふふっ、じゃーねA」

「うん。また明日」









　





その扉の前で

不意に思い出してしまったこの間の光景を


必死にかき消した。






カランと鳴った扉。


「おかえり」


変わらないマスター。


「寒かったー」


うわ言程度にそう呟いたら


「ほら」


今日はモヒートの前にブランケットが出てきた。


　

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