Over Love 2

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職場では
忙しい毎日が続いていた。




ランチ時。


「……疲れた」


いつかの菜奈の様に、社食で項垂れた私。


「サロン、全然行けないわね」
「ホントよ。あー、行きたい。癒されたい！」

「どこ行きたいの？」


相変わらずにっこにこの白濱が
トレイを私の隣に置いた。

私の隣に白濱が座る事は
もはや当り前になっていて


「サロンよサロン」


菜奈も当り前に受け答えをしていた。


「だったら俺が癒してあげよっか？」
「早く食べたら？」


慣れとは凄いモノで
この程度の戯言に
菜奈は反応すら見せなくなっていた。


ある意味、気張らなくてもいい時間。

隣でかつ丼を頬張る白濱を見ていたら

「あ…」

岩田もかつ丼が好きだった事を思い出した。


「そう言えばさっき、岩田から連絡があってね？」
「へー！元気だった？」






さかのぼる事30分前。


　“A先輩！お久しぶりです！”


登坂に仕事のアポを取りたいからと
携帯ではなく
わざわざ会社に電話を掛けて来た。


「明後日来るって」
「登坂も気合入ってるんじゃない？」
「かなりね」


でもそれは、登坂だけじゃない。

気合いとは少し違うかもしれないけど

仲間と仲間が
こういう形でもう一度仕事をするという事に
私も期待が高まっていた。









　







岩田の来社当日。


「A、ミーティングルームにお茶頼む」
「了解」


登坂は、随分と楽しそうに書類を揃えていた。


「…なに？」
「早く行かないのかなーと思って」

「ちょっと遅れた方が“先輩”っぽくね？」
「ふふっ、何ソレ」


ワクワクしている登坂を見ながら
実は私もワクワクしていて。


「失礼します」


「「あっ…」」






驚いた。


岩田の隣に座っていたその女性は
隆二のBARでたまに顔を合わせる
常連の彼女だった。


「経営戦略部の野田Aと申します」
「岩田の秘書をしております西嶋彩華と申します」


私的な場所で会っていた人と
公的な場所で偶然再会すると言うこそばゆい状況に
私たちは肩をすくめて笑い合った。


「えっ？なになに？二人、知り合い？」
「ちょっと、ね？野田さん」
「そ。ちょっとよ、岩田」

「楽しそうだね？」

「臣さんっ！！！」



抱擁し合う登坂と岩田に

正直、感動していた。



「ご無沙汰してます彩華さん」


…ん？


ふと感じた違和感。



西嶋さんが登坂の元カノだと気付いたのは

もう少し先になってからだった。


　

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