064 side R ページ14
「隆二…もう、無理」
その瞳が、酷く苦しそうに見えた。
終わった。
―俺は誓う。
―Aが守ったこの関係を
―二度と自分の手で壊さない、と。
誓ったはずだ。
その誓いに反し、告げようとし、
告げる事さえ許されず
終わった。
そう思った。
なのに
「かっ…身体、持たない…」
尚もAは
壊れたけた関係を守ろうとした。
己の感情だけで誓いを破ろうとした俺を
あの頃と変わらず
受け入れようとしてくれていた。
なあ、A。
その瞳から愛が伝わって来るのは
俺の錯覚なの?
俺はお前の特別だと、お前には俺が必要だと
そう思っていたのは
都合のいい解釈だった?
それとも
…都合がいいくらいが、丁度いい?
心が震えていた。
でも、Aも震えている気がした。
「…A、俺」
「隆二っ…」
起き上がるのすらギリギリなくらい
ぐったりしていたはずなのに
溢れ出ている熱い何かが、俺を閉ざした。
それ以上何も言うなと
それ以上何も伝えるなと
そう、叫ぶように。
何かをかき消すかのように
夢中で俺を求めるAを目の当たりにし
腹を据えた。
俺がAの特別なのではなく
Aに俺が必要なのではなく
俺にとってAが特別で
俺にAが必要なんだ。
壊れるくらいなら
無くすくらいなら
どんな
“俺たち、戦友だな!”
Aがそれを望むなら
溺れ死ぬまで貫き通す。
「女の顔、してんじゃねーよ」
「隆二こそ…」
籠る熱気。
曇るガラス窓。
これでいい。
無駄な事は何一つ考えなくていい。
俺の中で果てるまで。
“隆二っっ…っ…”
微か過ぎる寝息が不確かで
その身体を抱き寄せる。
その瞼も、その唇も。
首筋も、肩も
胸も、指先も。
丁寧にキスをしながら
精一杯想いを伝えた。
届ける事が許されない想い。
ごめんA。
目が覚めるまで。
せめて、その時まででいいから
囁かせて欲しい。
瞼が開いたとき
その瞳にもう一度俺が映ったとき
ちゃんと戻るから
ちゃんと戦友に戻るから
だから、今だけ。
一人の男として
Aを愛することを許して欲しい。
「愛してるよ、A」
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空(プロフ) - ユキさん» まだ観てないんです(><)早く観たいです♪ (2021年1月11日 16時) (レス) id: a234024cbd (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 空さん» 空さんは映画三国志観ましたか岩ちゃんポメラニアンの趙雲役カッコ良かったですけどナルシストな感じでしたね(*>∇<)ノ (2021年1月10日 21時) (レス) id: 5f63e3cc55 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - shireyさん» 怒涛すぎなので今回のターンは纏めて公開しよう!と意気込んでいました^_^;うんうん、本当にいい男です(TT) (2021年1月10日 21時) (レス) id: a234024cbd (このIDを非表示/違反報告)
shirey(プロフ) - 怒涛の展開、、白濱、、いい男だ、(;_;) (2021年1月10日 16時) (レス) id: eae9c1c1ca (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - kotaさん» モヤモヤさせているかもしれませんが(;^_^Aもう少しで移行です!お付き合い頂けると嬉しいです(^^)/ (2021年1月10日 15時) (レス) id: a234024cbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空 | 作成日時:2020年7月26日 20時