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“おやすみA”



黒くなった携帯の画面。

頭の中で広臣の声が木霊していた。



“おやすみA”


“おやすみA”




「あっ…」


いつまでも彷徨い続ける私に

考えるなと
感傷に浸るなと

いかにもそう言っているかの様に私を呼び戻したのは




―片岡直人―



そこに表示された“日常”の名前。


「…はい」

「A……俺……」


えらく気まずそうな声が届けられた。


「どうしました?最悪な直人さん?」

「…ごめんなA」


 “欲求不満?”
 “しばらくやってないもんね?俺たち(・・・)



可哀そうになる位しおらしい声の直人。

バカね。
何年一緒にいると思ってるの?


「バカラのグラス二客で許してあげる」


そう言いながらも
直人の声が
私の心を穏やかにしてくれている事に気付いた。


「え?…二客?」
「直人の分が必要でしょ?」


「…っ!Aっ!愛してるよーーーっ!!」




 


“午後から有給を取る様に、との事です”


身体の疲れは無いけれど
心の疲れだけは確実にある。


結局、休めたのか、休めなかったのか。


小さくため息をつきながらシャワーを浴び
ゆっくりとお湯に浸かった。




その日の終わり。


ベッドの中で届いた一通のメッセージ。


 “電話してもいい?”


文字だけなのに
甘えるような上目遣いと射る様な瞳の艶が
見えて来るようだった。


人たらしの相。


私は、そのメッセージに返信はせず

その名前をタップした。



―岩田剛典―



電話口から聞こえるその声もまた
私の感情を揺さぶる声だった。


「お疲れ様です。今日はすみませんでした」
「固いよA。ゆっくり出来た?」


唯一ゆっくり出来たのが“湯船”だけだなんて

…言える訳もない。


「お陰様で。仕事は?大丈夫だった?」
「それがさ…問題が発生しちゃって」


…ちょっと待って、嘘でしょ?


「結構なトラブル起きちゃったよ」



望美さんの言葉が過った。

 “Aが副社長を守るのよ”


私が休んでいる間に何かが起きたなんて
その間、要でもない事に翻弄されていたなんて

そんな情けな話は無い。


「何があったの?なんで連絡してくれないのよ!」


どうか大ごとではありませんようにと
心の中で両手を絡ませ、祈っていた。


「言いにくいんだけどさ…




 Aが居ないと…

 俺、落ち着かないみたいなんだよね」





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設定タグ:三代目 , 岩田剛典 , 登坂広臣   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - ユキさん» さらっといい男感出してみましたw続きもよろしくお願いします! (2020年3月9日 12時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ねーやんさん» あははw揺れまくってますよー^^続きもよろしくお願いします! (2020年3月9日 12時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 臣ポメ君(///ω///)♪ (2020年3月9日 11時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - 早く私素直になって!6年たったのにヤバい…臣も歳とってるんだから好みも変わってるはず(笑)ギャップで責めても一度恋人同士になれますよーに! (2020年3月9日 11時) (レス) id: 8f158f058f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーやんさん» コメントありがとうございます!!本当に嬉しいです!!そろそろ移行の予定ですがよろしければお付き合いくださいね^^ (2020年3月8日 21時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年2月24日 10時

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