005 ページ5
その日
社の会議室に上役たちが集められ
副社長に社長の息子が就くと伝えられた。
ざわつく空気感。
その表情から、大体の派閥が浮き彫りになっている。
夜は、あちらでの業務を終えた副社長を迎え
上役たちとの会食が行われた。
副社長が車から降りるなり
表向き社長派の人員が一列に並び
揃いもそろって頭を下げるんだから笑ってしまう。
「Aさんもどうぞ?」
「私…もですか?」
「はい。
「ふふっ、小林さんは直さないんですか?」
「身に染み込んでしまっていまして…」
面目なさそうに後頭部に手を廻した小林さん。
「困った坊っちゃんですね?」
「ははっ、勘弁して下さい」
駐車場に車を停め
小林さんと並んで会場へ向かった。
「Aさん、飲んでる?」
「はい、頂いております」
「あれ?もしかして結構いけるくち?」
「たしなむ程度です」
「良かったー!一緒に飲めるね?」
何が良かったー、よ。
あなたと飲む酒なんて、
もはや“酒”じゃないのよ。
それに。
あなたを蹴落としたいと思っている人間も
ここに潜んでいるの。
もう少し威厳を保って貰わないと
困るんですけど?
休日の今日は
朝からこちらの業務に専念して貰える貴重な一日。
「おはようございます。
本日のスケジュールですが…」
「スケジュール?全部頭に入ってるけど?」
「え?いえ、分刻みですけど…」
「知ってるよ?」
分刻みのスケジュールを
何も見ずにつらつらと読み上げた副社長。
「…だよね?間違ってるとこあったら教えて?」
「…いえ。完璧です」
鳩が豆鉄砲を食らう。
今の私は、きっとそんな顔。
突っ込み所なんて、一つもなかった。
「この書類から確認するね?」
特段と顔色を変える事もなく
本人は無自覚なんだろうけど
一気に“出来る男”の顔に変わった。
……。
そのタイトさが、無性に鼻につく。
どうせなら
傲慢に、高飛車に、挑発的に、挑戦的に。
これ見よがしにドヤ顔でもしてくれた方がまだマシだ。
IWTカンパニー副社長。
もしかしたら彼は、相当な人材なのかもしれない。
もしそうだとして
本来ならそれは
喜ばしくも誇らしくも思うべき事だろう。
でも。
心の中に何かが突っかかったままの私。
“今日、行っていい?”
“おっけー”
その夜、私は直人の家に向かった。
1630人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
空(プロフ) - ユキさん» さらっといい男感出してみましたw続きもよろしくお願いします! (2020年3月9日 12時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ねーやんさん» あははw揺れまくってますよー^^続きもよろしくお願いします! (2020年3月9日 12時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 臣ポメ君(///ω///)♪ (2020年3月9日 11時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - 早く私素直になって!6年たったのにヤバい…臣も歳とってるんだから好みも変わってるはず(笑)ギャップで責めても一度恋人同士になれますよーに! (2020年3月9日 11時) (レス) id: 8f158f058f (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - みーやんさん» コメントありがとうございます!!本当に嬉しいです!!そろそろ移行の予定ですがよろしければお付き合いくださいね^^ (2020年3月8日 21時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:空 | 作成日時:2020年2月24日 10時