023 side T ページ23
「私服、雰囲気違うね？」
目の前に現れたAさんが…花束に見えた、
なんて言ったら格好つけ過ぎかもしれないけど
そんな風に比喩したくなるくらい
いつもの雰囲気とはかけ離れていて
可憐で優雅に見えた。
助手席のドアを開き乗車を促しても
中々乗り込もうとしないAさん。
「ん？どうしたの？」
「何か…変な感じです」
何の話かと思ったけど、確かに。
副社長と秘書として出会った俺たちにとって
「ははっ。どうぞお乗り下さい？Aさん」
やっと乗り込んだはいいが
面白い位に目が泳いでいる。
意外性あるなーなんて思いながら
不意に思いついた悪戯。
「今日はさ、敬語なしにしない？」
「…無理です」
初めこそ断っていた彼女。
「いいでしょ？Aさん」
「…わかった。その代り」
俺のひと押しに
急に“歳上の女”の顔になった。
「
不意に見せた挑発的なその瞳に、思わずドキッとした。
「りょーかい、A」
瞳から漂う大人の艶に負けじと
俺も獲物を狙う様に見つめ返せば
不敵な笑みを浮かべた“A”。
やばい。色々新鮮過ぎる。
スーツの生地を選んでいる時もだ。
サンプル生地を俺に当てながら真剣に悩むその顔は
仕事中の顔とよく似ているのに
「剛典の肌の色だったらこっちじゃない？」
目の前で見れば急に艶っぽく感じるとか。
生地やネクタイを興味深そうに眺めるAだって
言ってみれば書棚で書類を探す様な光景なのに
酷く凛として見えた。
仕上がりまで6時間。
子犬と戯れるAも
美味しそうにご当地グルメを頬張るAも
俺の香水を嗅ぎ当てたAも
…色々新鮮過ぎる。
“剛典”
もはや普通にデート。
そんな事思っていたなんて、言える訳がない。
「ありがとね、A」
「こちらこそ。楽しかったよ？」
一人になった車内。
「…ッと！！！危ねっ」
自宅近くで目の前を通り過ぎた野良猫。
「ん？」
急ブレーキの勢いで、
助手席の下から
―――親愛なる副社長へ―――
“あっ！剛典っ”
“…ううん、何でもない”
「…やば」
やる事、可愛いくない？
見慣れた綺麗な字体に
にやけが止まらない自分。
色々………新鮮過ぎる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1630人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
空(プロフ) - ユキさん» さらっといい男感出してみましたｗ続きもよろしくお願いします！ (2020年3月9日 12時) (
レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ねーやんさん» あははｗ揺れまくってますよー＾＾続きもよろしくお願いします！ (2020年3月9日 12時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 臣ポメ君(///ω///)♪ (2020年3月9日 11時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - 早く私素直になって！6年たったのにヤバい…臣も歳とってるんだから好みも変わってるはず(笑)ギャップで責めても一度恋人同士になれますよーに！ (2020年3月9日 11時) (レス) id: 8f158f058f (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - みーやんさん» コメントありがとうございます！！本当に嬉しいです！！そろそろ移行の予定ですがよろしければお付き合いくださいね＾＾ (2020年3月8日 21時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2020年2月24日 10時
