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「…優しく、出来ないかも」
期待通り、
歓び以外の何物でもないその言葉に
心も煩悩も痺れている。
感情のまま抱いて欲しい。
隆二がしたいようにして欲しい。
そんな隆二を、感じたい。
今の私が返せるのは
その欲を存分に煽る事だけだった。
「その方が嬉しい…」
ほんの一瞬、
零コンマ一秒にも満たないごく僅かなその瞬間に
今にも泣き出しそうに瞳を揺らした隆二を
私は見逃さなかった。
込み上げる慈しみ。
その目は直ぐに
何事も無かったかのように
雄である事を全面に滲ませている。
「A…」
私を呼ぶ声が愛おしい。
存在そのものが愛おしい。
余裕なく押し付けられた唇に酔いしれる中、
ワンピースのファスナーを一気に降ろされ
首筋から肩に、
生ぬるさが這い伝った。
耐え切れずに声を漏らした私を
隆二はニヤリと笑い
その力に身体を押され
上質なベッドに身体が沈み
惑わしい親指が、焦らす様に私の唇をなぞる。
「顔、えろいよ?」
真上から浴びせられる欲に煽られ
もどかしさに打ちひしがれていた。
「…素直な方がいいでしょ?」
「Aならなんだっていいよ」
勝つとか負けるとか
悔しいとか意地を張るとか
そんな事、もうどうでも良くて
与え続けられる刺激に、全ての意識が集中していた。
刺激を受ける場所が増える度に
自分が雌である事を自覚していく。
何度も肌を重ね合って来たはずなのに
今のこの感覚は
経験した事のない、未知の感覚だった。
奥の奥の深い所まで満たされるような
魂が混ざり合っているような
興奮でもあり
開放でもあり
五感だけではなく、
第六感までもが
ただただ隆二だけを感じ求め続けている。
「A、愛してる?」
「…愛してる」
眉間に皺を寄せた隆二が浅く息を吐き
そして喉を動かした。
目の前にあるその瞳を見つめたら
余裕なく微笑み返されて
一緒に、と願う。
「愛してるよ、A」
「隆二…、愛して…るッ…」
胸部を圧迫するその重みに
未知の感情が涙腺を刺激する。
嬉しそうに涙を吸った隆二。
優しく出来ないなんて嘘だった。
その激しさに、
優しさと、愛と欲しか感じる事が出来なかった。
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ユキ(プロフ) - 空さん» 完結お疲れ様でしたまた次回作も楽しみにしてます😉♥️ (2023年1月28日 1時) (レス) id: e86d7cf610 (このIDを非表示/違反報告)
kota(プロフ) - 空さん、また一つ素敵な作品の完結おめでとうございます✨こちらこそ毎回コメントにレスをしてもらって嬉しかったです。臣、隆二、岩田と読むたびに心が傾き三人三様を堪能できました。もう一度はじめから読み返します😌片想い日記anserも楽しんで読んでます。 (2023年1月27日 22時) (レス) @page50 id: b7bba7af23 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - kotaさん» 完結しました!kotaさんの感想を沢山聞けて本気で嬉しかったです!ALL LOVE!お付き合い頂いて本当にありがとうございました!! (2023年1月27日 8時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ユキさん» 機会が合えばですかね^^;完結しました!お付き合い頂いてありがとうございました! (2023年1月27日 8時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
kota(プロフ) - ALL LOVE😍まさに皆の愛に包まれてWedding🔔 サプライズ❤ (2023年1月24日 21時) (レス) @page47 id: b7bba7af23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空 | 作成日時:2022年12月5日 15時