132 After Story side you ページ32
春が来て
夏が来て
秋が来て
また冬が来た。
“頑張ってみる？二人で”
あれから一年。
仕事納めの今日、
私は、五十嵐コーポレーションを退社する。
朝、スーツに着替える時、
鏡の中の自分が絶妙に緊張していた。
何度もその姿を確認して
何度も襟を整えて
入社してから今日までの日々が蘇る。
今思えば、あっという間に過ぎ去った。
数分前にメイクが済んだばかりなのに目頭が熱くなってしまって
慌てて天井を見上げた。
どうにか堪えて、
部屋を出ようと入り口に振り向いたら
開けっぱなしのドアに寄り掛かった隆二が
腕を組んで穏やかに私を眺めている。
「辞めるの、止める？」
「…止めない」
「だったら、笑え？」
とびっきりの作り笑いを見た隆二が笑っていた。
家を出る時、いつもならハグをしながら
行って来ますのキスをするけど
今朝、キスだけをした隆二にさすがと思った。
今日ばかりはハグをされたら
メイクをし直さなければならなくなる心事情を
ちゃんと理解してくれている。
駅の改札口では亜樹が待っていてくれた。
先に出社していた岩田とは
至極変わらない挨拶を交わした。
ランチは亜樹と、最後の社食。
午後の業務中には関わりのあった人たちが
わざわざ挨拶に来てくれて
終業間際、
いよいよ堪え切れないと思ったとその時、
「Aさん、ちょっといいですか？」
岩田に声を掛けられた。
本当に
懐かしいプロジェクトルーム。
その記憶も鮮明に蘇ったのも事実だけど
岩田の厚意を無駄には出来ないと
間一髪、女豹の仮面を被った。
「なに？どうしたの？」
「解ってるくせに」
自慢げに私を見下ろす岩田に
素直に胸が熱くなった。
「…岩田、頑張ってね」
「言われなくても。なぁA」
「ん？」
「迷子になったらまた拾ってやってもいいぞ？」
「大丈夫。もう子猫じゃないから」
送別会は辞退していた。
部長に挨拶をした後、フロアの皆から
抱える程の大きな花束を貰った。
「長い間お世話になり
本当にありがとうございました」
エレベーターまで見送ってくれた亜樹とハグをして
またねと言って、
ロビーに着いたら
受付の女の子たちまでもが花束をくれた。
そして、
ビルのガラス扉の向こう側で私を待つその姿に
ついに堪え切れなくなった。
「…隆二」
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ユキ(プロフ) - 空さん» 完結お疲れ様でしたまた次回作も楽しみにしてます😉♥️ (2023年1月28日 1時) (
レス) id: e86d7cf610 (このIDを非表示/違反報告)
kota(プロフ) - 空さん、また一つ素敵な作品の完結おめでとうございます✨こちらこそ毎回コメントにレスをしてもらって嬉しかったです。臣、隆二、岩田と読むたびに心が傾き三人三様を堪能できました。もう一度はじめから読み返します😌片想い日記anserも楽しんで読んでます。 (2023年1月27日 22時) (レス) @page50 id: b7bba7af23 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - kotaさん» 完結しました！kotaさんの感想を沢山聞けて本気で嬉しかったです！ALL LOVE！お付き合い頂いて本当にありがとうございました！！ (2023年1月27日 8時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ユキさん» 機会が合えばですかね^^；完結しました！お付き合い頂いてありがとうございました！ (2023年1月27日 8時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
kota(プロフ) - ALL LOVE😍まさに皆の愛に包まれてWedding🔔 サプライズ❤ (2023年1月24日 21時) (レス) @page47 id: b7bba7af23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空
| 作成日時：2022年12月5日 15時
