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007 side you:捻挫の理由 ページ7

「隆二が変われって」


通話中のスマホを受け取り
電話口で隆二に名前を呼ばれたと同時に

空いている方の手を広臣に握られた。


何事かと広臣を見上げたら
その口角を上げ、

顎で、電話に戻れと言っている。



「ごめん隆二、心配かけて」
『怖かっただろ?マジ無事で良かった』
「…うん。ありがとう」

『あのさA。俺、階段から落ちちゃって』
「え?大丈夫なの?」

『うん。足首の捻挫だけなんだけど
 念の為に病院に泊まれって言われてさ』

「そうなの?なんか必要な物ある?」

『無いけど、…Aの顔が見たいかな。
 臣と一緒に来て。待ってるから』




通話が終わり、息が漏れた。


「隆二なんだって?」

「…飲み物が欲しいって。
 そう言えば、どこの階段から落ちたか聞いた?」


小さな嘘の後にふわっと香ったその香りは

昔から変わっていない。


どこか大人っぽい、

深くて、それでいて爽やかなその香り。




「……聞いてないけど
 仕方ねぇから行ってやるか」





タクシーに揺られながら考えていた。


電話の後、

何の為に広臣が私を抱き締めたのか。












「おせぇよ」


ベッドの上の隆二は
病着こそ着ているものの、

それ以外はいつもの隆二でホッとした。



「俺、飲み物買って来る」
「悪い。ありがとう」



でもよく見たら

包帯で覆われた左の足首が
右の倍の太さがあって

他は本当に大丈夫なのか心配になった。



「本当に足首だけ?」

「うん。あとは全然。それよりA、
 誰あいつ。マジで大丈夫なの?」

「職場の先輩。
 前に告白されて断ったんだけどね。
 てか隆二、どこの階段で落ちたの?」

「…会社の、最寄の駅。大ごとにされて。
 着信気付けなくてごめんな」

「そんなの全然。
 隆二も大変だったのに私こそごめんね」



でも、顔を見たら安心した。





面会を終えた帰り道。


タクシーに揺られながら
またひとつ、疑問が浮かんだ。



病院に行く前、広臣は、

隆二にも連絡したとは言っていたけど


つけられていた事を、
電話で広臣には伝えていない。



 “広臣たすけ…”
 “俺の女に触んじゃねーよ”



さっき隆二から来た電話でも
広臣はその事に触れていない。



 “誰あいつ。マジで大丈夫なの?”



どのタイミングで隆二がその事を知ったのか。


事実知るのは、明日の話。


 

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設定タグ:登坂広臣 , 今市隆二 , 岩田剛典   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - ユキさん» 遅くなってすみません( ;∀;)ミニタオル、良かったですね! (2022年9月1日 18時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ねーやんさん» 遅くなりました^^;移行準備が整いましたので公開しました!お暇なときにまた読んで頂けると嬉しいです! (2022年9月1日 18時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 空さん» TAKAHIROさんと世界君とテツヤさんとミニタオル無事に買えました😄♥️ (2022年8月2日 7時) (レス) id: e86d7cf610 (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - 臣の思う壺😂やっぱ岩田じゃ満たされません笑移行楽しみに待ってます😊 (2022年8月1日 17時) (レス) @page49 id: 5188de096f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ユキさん» お目当ての物GET出来ましたか? (2022年8月1日 10時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年6月25日 21時

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