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006 side H:着信2 ページ6

視線の先で
Aが男に腕を掴まれ

路地裏に連れ込まれて行く。



その時点で怒りが頂点に達し

そこに着いた時、爆発した。



壁際に追い込まれているAは
男を鋭い眼で睨み上げている。



「俺の女に触んじゃねーよ」



人を殴り倒したのは初めてだ。


それでも怒りは収まらず

地面を這いながら逃げる男を
尚追いかけよとした俺を制したのはAだった。



「広臣」



その隙に男は立ち上がり、その場から逃げ去った。

逃しどころのない怒りが
まだ燻ぶっている。



「大丈夫?怪我は?」
「大丈夫。ごめんね電話しちゃって。ありがと」



話を聞けば尚更腹が立つ。


それでも、Aが無事だったと
どうにか自分に言い聞かせ

周囲を警戒しながら

Aの部屋に二人で帰宅した。








「ごめんなA。もっと早く見つけてれば…」

「見つけてくれたじゃない。今日も、高校の時も」




 “いい加減、隆二から離れなよ!”
 “おい、何やってんだよ”




思わず、抱き締めてしまった。





「…やっぱり、いい匂いだよね」



 “…香水、いい匂いだよね”



あの頃は、

こうやってAを抱きしめる事が

俺の幸せだった。


その度にAは、穏やかな顔で瞳を閉じ

香水(オレ)を香っていた。




 “広臣、ばいばい”




そう。

あの日までは。






「そう言えば俺、隆二に連絡したんだった」



強制的に意識を逸らさなければ
Aの身体を解放する事が出来なかった。


まだ探しているであろう隆二に電話を掛け
その時は繋がらず

本人から連絡が来たのは2時間後の事。




『臣、今Aと一緒だよね?
 カフェの所でAを追ってく臣見えたから
 そっちは大丈夫だろうと思って』

「大丈夫だけど、お前今どこ?」

「……病院」

「は?」





Aを探す途中、
走行中の車と接触し

搬送先の病院から電話を寄越していた隆二。

幸い捻挫で済んだものの、
念の為、一晩泊まる事になったという。



「Aが聞いたら責任感じると思うんだ。
 だから、俺が臣から電話貰った事、
 Aには言わないでくれない?」

「…ごめん、手遅れ」

「はは、マジか。まあ仕方ない。
 じゃあさ、Aに変わってよ。
 声聞いた方が安心するだろうから」



さすが隆二だ。

そして、隆二らしい。


だからこそ、悔しく思ったのかもしれない。


 

007 side you:捻挫の理由→←005 side R:着信1



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設定タグ:登坂広臣 , 今市隆二 , 岩田剛典   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - ユキさん» 遅くなってすみません( ;∀;)ミニタオル、良かったですね! (2022年9月1日 18時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ねーやんさん» 遅くなりました^^;移行準備が整いましたので公開しました!お暇なときにまた読んで頂けると嬉しいです! (2022年9月1日 18時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 空さん» TAKAHIROさんと世界君とテツヤさんとミニタオル無事に買えました😄♥️ (2022年8月2日 7時) (レス) id: e86d7cf610 (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - 臣の思う壺😂やっぱ岩田じゃ満たされません笑移行楽しみに待ってます😊 (2022年8月1日 17時) (レス) @page49 id: 5188de096f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ユキさん» お目当ての物GET出来ましたか? (2022年8月1日 10時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年6月25日 21時

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