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 “諦めろ。
  一人で帰すわけねーだろ”



さっきまでの飲み会が
もっとずっと前の出来事だと感じるほど

目まぐるしく変動する感情を
コントロールする事で精一杯だった。




タクシーの後部座席。


幸いな事に
私達の間には充分な空間が保たれていて

だから、
不和的に主張する心音は
漏洩(ろうえい)せずに済んでいるはず。




眺める景色が見慣れた景色へと移り変わり

その途中で教えてくれた広臣のマンションは
まさかの徒歩圏内だった。




「マジかよ…。こんな近くだったんだ」




タクシーを降りた広臣が
信じ難い様子で私のマンションを見上げている。




「駅でも会った事ねーのに」




本当にそう思う。

駅でもコンビニでも、道すがらでも。



こんなに近くに居たのに会わなかったなんて、

でも逆に、

こんなに近くに居るのに会わなかった事実こそが
本来の運命だったんじゃないかと思うと

心に痛みを受けてしまう。



逃げ出したのは自分のクセに
痛みを感じるなんて身勝手極まりない。


とことん自分が嫌になる。




「…じゃあ、ありがとう。おやすみ」




そんな自分を振り切る思いで足を踏み出したら、

強い力でグッと手を握られた。




「待ってA」




広臣の手には
思い出が多すぎる。




「…ごめん。なんか嬉しくてさ」




初めて手を握られたのは
隆二と楓さんに鉢合わせた時だった。

二度目は花火大会の人混みの中。

三度目の時は、
鬱陶しさを感じる程の暑さの中だったけど、
あの時の私の心は弾んでいた。




「何階なの?」
「…8階」
「そか。…8階か」




改めてマンションを見上げた広臣は
本当に嬉しそうで

そんな広臣の横顔に

盛大に心を揺さぶられた。



握り直された恋人繋ぎ。

懐かしい感情が、リアルに込み上げて来る。



どうしよう。

今度こそ不和的に主張する心音が
漏洩(ろうえい)してしまうかもしれない。






「なぁA、…乾杯、し直さない?」






私の返事次第で、
その表情がどう変わるかは分かっていた。



断れなかったとか、自暴自棄だったとか、
理由を見つけて正当化しようなんて

二度としない。




私は今、
確実に見たいと思っている。




広臣が喜ぶ、その顔を。




 

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設定タグ:登坂広臣 , 今市隆二 , 岩田剛典   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - ユキさん» 遅くなってすみません( ;∀;)ミニタオル、良かったですね! (2022年9月1日 18時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ねーやんさん» 遅くなりました^^;移行準備が整いましたので公開しました!お暇なときにまた読んで頂けると嬉しいです! (2022年9月1日 18時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 空さん» TAKAHIROさんと世界君とテツヤさんとミニタオル無事に買えました😄♥️ (2022年8月2日 7時) (レス) id: e86d7cf610 (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - 臣の思う壺😂やっぱ岩田じゃ満たされません笑移行楽しみに待ってます😊 (2022年8月1日 17時) (レス) @page49 id: 5188de096f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ユキさん» お目当ての物GET出来ましたか? (2022年8月1日 10時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年6月25日 21時

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