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041 side you:始動 ページ41

週明け。

いよいよ今日から
プロジェクトが始動する。



「おはようA。いよいよね。大丈夫?」
「大丈夫よ。ありがとう亜樹」



亜樹と話しをしながらフロアに向かい、
着席していた岩田と目が合った。


浮かべた笑顔は
子犬の仮面を被った表向きの物ではなく、
素の、柔い笑顔。

その笑顔で気持ちが穏やかになるものだから、
笑っちゃう。



「岩田、随分Aに懐いてるんじゃない?」
「あの子は皆にでしょ」
「ふーん?」
「…なに?」
「別にぃ?ま、頑張ってね!」



いかにも面白そうに私の肩をポンと叩いた亜樹は
その足で岩田の元に向かい、耳打ちをしていた。












そしてついに、始動の時が来た。

メンバーが揃ったミーティングルーム。


コンペの時とは違い
どうしたってコミュニケーションが必要になり、

私は広臣を「登坂さん」と呼んだ。


その瞬間の面食らった表情に
自分自身、多少なりとも心が突かえ

でも、すぐに立て直す。



これは仕事。


私は当然の呼び方をしたまでの事で

落ち度があるとするなら
感情を表に出した広臣にある。


そう思ったクセに
今度は広臣が私を「桜木さん」と呼び

あっさりと面を食らってしまった。





打ち合わせの後は
各々が割り振られた業務へと移行する。


企画発案者の広臣はチームマネージャーとなり

リーダーの私と一緒に
関係各所への挨拶回りに出向く事になっていた。




二人で出掛けるというだけで息が詰まりそう。




そんな胸の内を見透かす岩田は

憎たらしい程爽やかに
「お気をつけて」と言いながら会釈をし、
あざとさ全開で笑った。



ムカつく。
ホント気が置けない。



いつもはメールのクセに
今日に限ってわざわざ言葉で家に来いとか、

この間はこの間で
急にオムライスが食べたいとか。




モヤつきながら乗り込んだエレベーター。

真横の空気が動き、ふと、懐かしい香りが漂った。




「やっと二人になれた」



どこか大人っぽい、
深くて、それでいて爽やかなその香り。




「久しぶりだね、A」
「…金曜も会ったじゃない」
「仕事でね」
「…今も仕事中ですけど」




見上げた広臣が穏やかに笑った。


柔らかく上がったその口角に
気張っていた心が少しだけ緩んだ事に気付き、

慌てて引き締め直す。




「登坂さん。プロジェクト成功させましょうね」

「はは、そうだね。
 よろしくお願いします、桜木リーダー」




 

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設定タグ:登坂広臣 , 今市隆二 , 岩田剛典   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - ユキさん» 遅くなってすみません( ;∀;)ミニタオル、良かったですね! (2022年9月1日 18時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ねーやんさん» 遅くなりました^^;移行準備が整いましたので公開しました!お暇なときにまた読んで頂けると嬉しいです! (2022年9月1日 18時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 空さん» TAKAHIROさんと世界君とテツヤさんとミニタオル無事に買えました😄♥️ (2022年8月2日 7時) (レス) id: e86d7cf610 (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - 臣の思う壺😂やっぱ岩田じゃ満たされません笑移行楽しみに待ってます😊 (2022年8月1日 17時) (レス) @page49 id: 5188de096f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ユキさん» お目当ての物GET出来ましたか? (2022年8月1日 10時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年6月25日 21時

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