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事件が起きたのは
入社3年目の春。


ある日の帰り道、
誰かに後を付けられているような気がして

ある日の帰り道、
その距離が近くなった気がして


その日の帰り道、
振り向いたら、向こうに歩いて行く男が居た。


「……」


ただ私はその道で
誰ともすれ違っていない。

周りに店やマンションの出入り口もない。



恐怖だった。



焦って大きな通りまで走り
そこにあったコンビニに駆け込んだ。

陳列棚の間まで一度逃げ込み

恐る恐る出入り口の方を見たら


「っ…」


居た。




怖くて、
震える手を堪えがら隆二に電話をして、

でも繋がらなくて、

広臣に掛け直した。




「広臣たすけ…」




その男が店内に入って来たのはその時だった。

その顔を目の当たりにし、衝撃が走る。




『A?Aどうした?』

「ごめん広臣、大丈夫」




吉田さんだった。



 “入社した時から気になってて。
  俺と付き合ってくれないかな”

 “ごめんなさい。
  今は誰とも付き合う気がないです”



犯人を認識したと同時に

恐怖の代わりに湧いて来たのは怒り。




「あれ?Aちゃん。家この辺なの?」


いかにも偶然を装うその態度。
さっきまで後をつけていたくせに。



「嬉しいな。こんな所で会えるなんて」

しらじらしいにも程がある。
恐怖が全て、怒りに変わった瞬間だった。



「吉田さん、ちょっといいですか」





近くにあったカフェは
外からでも中の様子がよく見えて、

店内も明るく、ここならと思った。




「私の事、つけてたましたよね?」
「え?何の話?」

「この間も昨日も。さっき私録画してたんです。
 認めないなら会社でも警察でも」

「ご、ごめんて。確かに俺だよ。
 でも俺、本気で君が好きなんだ」




動画なんて本当は撮ってない。

怖くてそれどころじゃなかった。


まさか吉田さんだったなんて。

まさか職場の人だったなんて。




「お断りしたはずです。もう二度と
 こんな事はしないと約束して下さい」

「…分ったよ」

「それじゃ。失礼します」




解ってくれたと思った。


でも甘かった。



カフェを出た途端、

吉田さんは私の腕を引き、路地裏に連れ込んだ。




「なぁ、消せよその動画。なんだよその眼。
 ちょっと綺麗だからって調子乗んじゃねーぞ」



私を壁際に追い込みながら凄む吉田さんが




視界から消え

ドスンという音がした。




「俺の女に触んじゃねーよ」


 

005 side R:着信1→←003 side you:あれからの私



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設定タグ:登坂広臣 , 今市隆二 , 岩田剛典   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - ユキさん» 遅くなってすみません( ;∀;)ミニタオル、良かったですね! (2022年9月1日 18時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ねーやんさん» 遅くなりました^^;移行準備が整いましたので公開しました!お暇なときにまた読んで頂けると嬉しいです! (2022年9月1日 18時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 空さん» TAKAHIROさんと世界君とテツヤさんとミニタオル無事に買えました😄♥️ (2022年8月2日 7時) (レス) id: e86d7cf610 (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - 臣の思う壺😂やっぱ岩田じゃ満たされません笑移行楽しみに待ってます😊 (2022年8月1日 17時) (レス) @page49 id: 5188de096f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ユキさん» お目当ての物GET出来ましたか? (2022年8月1日 10時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年6月25日 21時

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