Scramble LOVER -夜半の約束

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　“…デザート？”
　“そう。とっておきの”




当社が協賛している企業からオファーがあり
新企画を合同で進める事になるらしい。

正式な発表は明日の朝。

そのメンバーに
うちの部署からはAと俺が選出される予定で

さらにAは
リーダーの候補に挙がっているとの事。




「やばくない？A、大抜擢だよ」




なのに、Aが固まっている。

いや。
正確には怯えている。





「…A？どうした？」






その眼に、青春(あお)が浮かんでいた。







「A…」






最近気付いた事がある。


Aは、言いたい事を飲み込む癖があって

でもそれは
俺がきっかけさえ作ってやれば

糸口はするりとほころび、ゆっくりと語り出す。





「もしかして、どっちか(・・・・)の会社？」

「…うん。当該じゃないかもしれないけど」

「どっち？」




　













Aの青春(あお)。






　









「なるほどね。どうする？俺を利用する？」

「……利用？何に」

「そうだな。今日はまず抱き枕になって。
　夜通しで抱きしめてやるよ」

「なってって、私が利用されてるみたいじゃない」

「なに言ってんの。
　夜通しで抱きしめて貰えるんだよ？この俺に」

「…だから。世間ではそれを自惚れって言うのよ」








そしてもう一つ気付いた事がある。




Aが放つ色香は

青春(あお)が増幅させるという事実。




前に亜樹さんが

悩みや苦しみがAの魅力を増幅させるなんて皮肉な話だと言っていたけど

だからこそこだ。




Aの心に生き続けている絶対的存在。




悩みや苦しみだけではない。



絶対的な想いから放たれる色香こそが

Aの色香。



想いが膨れ上がれば膨れ上がるほど、

その色香は増していく。





妬けるよね。
ムカつよね。





「なぁA。
　いつになったら俺のになってくれんの？」

「なってるようなものでしょ」

「俺はAの心が欲しいんだけど」



　

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