017 side you:代償 ページ17
“登坂君を解放してあげて”
広臣と二人になる事を避ける為に
隆二の部屋に逃げ込んでいたけど
結局それも甘えだ。
そしてその結果がこれ。
「身体だけだから。それ以外ないから」
「…私たち、もう大人なのよ?
中学生でもあるまい。
そのくらい誰だってあるでしょ」
「…好きとか、関係なくない?」
“俺たちもう、大人なんだから”
“中学生でもあるまい。異性っていうだけで
色恋に結び付ける発想が子どもなのよ”
まるで喧嘩。
売り言葉に買い言葉。
「…だったら、俺とも出来るってこと?」
「……出来る」
ただ、傷付いた隆二を目の当たりにするくらいなら
広臣の掻き傷は私じゃないと
嘘を付けば良かったと後悔していた。
「…なんだよそれ」
多分、終わる。
でも丁度いい。
これで離れられる。
隆二からも自立出来る。
「…いいんだな?」
「……うん」
頭ではそう思いながらも
誤魔化しきれない感情が
自分の中で渦巻いている事実に気付いてしまった。
痴話喧嘩の延長みたいな状況にも関わらず
私は、
男の隆二に胸が熱くなっている。
非難は覚悟している。
それでも
知り得るはずの無かった初恋の人とのキスは
どんな状況で有れ
胸を焦がすには充分過ぎる蜜だった。
探るように辿られるその仕草は新鮮で
高潔だとさえ感じている。
そしてその直前。
「やめんなら今だぞ」
止めなくていい。
もう私を守る必要はない。
中途半端な情で
この事実を美談にする必要もない。
「…いいって言ってるでしょ」
だったら何で泣いてんだと言わんばかりに
隆二は私の涙を掬い
そしていざその瞬間は、
泣き虫と言いながらしてくれていたポンや
いつの間にか当たり前になったハグの様に優しく
来た。
「っ……」
焦がれていた心が満たされた瞬間だった。
視界の端に剥き出しになった欲を捉え
同じ気持ちで居てくれると解り、
苦しい。
こんな形で隆二を知ったこと。
こんな形で自分を曝け出したこと。
これが隆二との
最初で最後だということ。
本当の自立や自由とは
責任が伴ってこそだと誰かが言っていた。
だとすれば私は
自立の代償であるこの苦しさを
真っ正面から受け止めるべきで、
そして
責任を取るべきだ。
だから
もう二人には迷惑を掛けない。
もう、恋は要らない。
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空(プロフ) - ユキさん» 遅くなってすみません( ;∀;)ミニタオル、良かったですね! (2022年9月1日 18時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ねーやんさん» 遅くなりました^^;移行準備が整いましたので公開しました!お暇なときにまた読んで頂けると嬉しいです! (2022年9月1日 18時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 空さん» TAKAHIROさんと世界君とテツヤさんとミニタオル無事に買えました😄♥️ (2022年8月2日 7時) (レス) id: e86d7cf610 (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - 臣の思う壺😂やっぱ岩田じゃ満たされません笑移行楽しみに待ってます😊 (2022年8月1日 17時) (レス) @page49 id: 5188de096f (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ユキさん» お目当ての物GET出来ましたか? (2022年8月1日 10時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空 | 作成日時:2022年6月25日 21時