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015 ページ15


 “隆二。私ね、…自立したい”



「どういう意味?」
「…そのままの意味だけど」

「A、マジでなにがあった?」
「だから、」

「臣と。喧嘩でもした?」
「……してないって」



俺の予想では
言い出せなかった(・・・・・・・・)事実を

ケンカか何かがきっかけになって
ようやく報告されるんだと思っていた。



臣の背中に掻き傷(・・・)を見つけたのはジムの更衣室。



二人は元々恋人同士だし

臣が日本を離れてからの間、

Aがどうやって乗り越えたのかを
ずっと隣で見て来たから

帰国が決まった時点で
いつ縒りが戻ってもおかしくはないと

そう思っていた。



「お前さ、俺を誤魔化せると思ってる?
 何年一緒に居ると思ってんだよ」



だから、急に引越すなんて相当な話で

だとすれば
それ以外の理由はないず。



「臣と別れた?」
「……え?」

「付き合ってたんだろ?」
「は?」

「知ってんだぞ。
 臣の背中の掻き傷、Aだろ?」




Aにとって臣の存在が絶対的である事は
今に始まった話ではない。


Aを見つけるのはいつも臣で

Aの横顔を大人にさせるのも臣だった。




「言ってくれれば良かったのに。
 元々付き合ってたんだし」

「ほんとに付き合ってないから。
 付き合ってないのにどうやって別れるのよ」

「だからなんで隠すの。
 隠される方がショックだわ」




Aが幸せなら。

相手が臣なら。



そう思いながら生きて来たはずの俺を覆したのは

Aのその言葉。









「身体だけだから。それ以外ないから」









脳天に、強烈な衝撃を受けている。





「……何言ってんの」
 
「私たち、もう大人なのよ?
 中学生でもあるまい。
 そのくらい誰だってあるでしょ」





感情も思考も

何をどう処理すればいいのか分からない。




「…どういう意味だよ」

「そういう意味よ」

「だとしても臣が好きだからじゃねーの?」

「…好きとか、関係なくない?」




テレビの明りが照らしたAの横顔に

あの頃の面影が無い。



こいつは本当にAか?
俺は誰と話してる?




 “…私たち、もう大人なのよ?”
 “…好きとか、関係なくない?”




なんだよそれ。




 “私…、大人になりたい”




あの頃Aが言っていた大人って

どんな大人だったんだよ。






「なぁ」







何かが途切れた。







「…だったら、俺とも出来るってこと?」



 

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設定タグ:登坂広臣 , 今市隆二 , 岩田剛典   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - ユキさん» 遅くなってすみません( ;∀;)ミニタオル、良かったですね! (2022年9月1日 18時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ねーやんさん» 遅くなりました^^;移行準備が整いましたので公開しました!お暇なときにまた読んで頂けると嬉しいです! (2022年9月1日 18時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 空さん» TAKAHIROさんと世界君とテツヤさんとミニタオル無事に買えました😄♥️ (2022年8月2日 7時) (レス) id: e86d7cf610 (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - 臣の思う壺😂やっぱ岩田じゃ満たされません笑移行楽しみに待ってます😊 (2022年8月1日 17時) (レス) @page49 id: 5188de096f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ユキさん» お目当ての物GET出来ましたか? (2022年8月1日 10時) (レス) id: 3e00d8d8fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年6月25日 21時

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