081 side you ページ31
「向こうの席に中村リコがいる」
「…っ」
“写真撮られたって”
“彼女の事、責めないでヤって下さいね”
心をどうにか落ち着けようと必死だった。
私たちに気付いているのか、否か。
それを確かめるのはリスキーで
どの手段で岩田を守るのが最善か紆余曲折していた。
「…Aさん。行きましょう」
「は?えっ?岩田?」
動いたのは岩田だった。
テーブルに残されたホワイトルシアン。
たじろぐ私の腰を抱き、そこで足を止めた。
「中村さん、こんばんは」
「こんばんは、岩田さん、Aさん?」
いかにも面白そうに口角を片方だけ上げ
乾いた笑みを浮かべた中村リコ。
やっぱり知っていた。
私たちがここに居る事を、彼女は知っていたんだ。
「リコ、此方は?」
「職場の先輩で岩田さんとAさん。
こちら、常務のご子息でフィアンセの…」
「岩田と申します。
常務にも中村さんにもお世話になっております」
全身鳥肌が立っていた。
着いて来たって事?
岩田の後を追って来たって事?
「ふふっ、お二人、
見られた。
また撮られたかもしれない。
どうしよう。
どうすればいい?
どうするのが正解?
「残念だけど片思い。
俺はそう望んでるんだけどね?」
…はい?
「っ…、そ、そう…なんですね」
動揺する彼女に、今度は岩田の口角が上がった。
「お邪魔してすみませんでした。
では失礼します」
腰を抱かれまたまBARを後にした。
歩道まで出た所で岩田は私の手を握った。
随分と、満足げに微笑みながら。
「Aさん、俺、もう大丈夫っす」
「え?」
「実は、
「…岩田」
“脅されたらしいよ”
“守りたかったんじゃない?相手の事”
“もう少しでフェードアウト出来そうって
思ってたんすけどね…”
なに強がってるの?
私を守る必要なんてないのよ?
「線香花火、終わるの待つ必要もなかったっす」
「…落とした、って事?」
「はい。新しい花火がしたいんで?」
“残念だけど片思い。
俺はそう望んでるんだけどね?”
つまり、
そういう事にしておけ、という意味だろう。
本当に
後輩の本心すら見抜けない私は
自分が出来損ないの先輩だと気付きもせずに
それでも先輩風を吹かそうとしていた。
470人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
空(プロフ) - ユキさん» こちらこそありがとうございます!移行しました^^よければまたよろしくお願いします! (2021年2月23日 20時) (レス) id: e1512fbbe9 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 空さん» いつも沢山更新ありがとうございます今週から花粉も飛び初めましたけど体調には気を付けて下さいね(><) (2021年2月23日 9時) (レス) id: 5f63e3cc55 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - kotaさん» 知らないと思ってこっそりです(//∇//)このあともよろしくお願いします^^♪ (2021年2月23日 9時) (レス) id: e1512fbbe9 (このIDを非表示/違反報告)
kota(プロフ) - くぅ〜σ(≧ω≦*)可愛いことしますね。隆二メロメロです。別れ道ドキドキする〜 (2021年2月22日 23時) (レス) id: 8448788f30 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ねーやんさん» 途中で思い出しちゃったんです、魔法の言葉(笑)今移行準備してます!そちらもよろしくお願いします! (2021年2月22日 21時) (レス) id: e1512fbbe9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:空 | 作成日時:2021年2月6日 20時