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ソファーに身体を預け

その心地よさを改めて体感していた。





店頭で座った時より遥かに心地よく感じるのは

きっと、

ここが広臣の部屋という事と


握られた私の手が

広臣の指で

もてあそばれているから…




「…やっぱ最高」

「…ほんとだね」




「観葉植物も欲しいな。あとダイニングテーブル」
「バルコニーにブランコは?」
「いらねーよ」


くすくす笑いながらも理想の家具を思い浮かべ、

少年の様に目をキラキラさせて。

そんな広臣の隣で幸せな時間を感じていた。






ちょっとだけ甘くなった空気を遮った広臣の携帯電話。


「わるい、出ていい?」
「もちろん」



肩でスマホを挟みながらノートパソコンを開き
片手でビジネスバックの中身を探る広臣。

代わりに私がファイルを取り出して

“これ?”と目で聞けば “それ”と目で答え、

“ありがとう”と笑顔をくれた。






「Aごめん、会社出ないといけなくなった」
「手伝える事ある?」
「いや、大丈夫。何かあったら連絡するよ」


仕事モードに切り替わった広臣の顔。

寝室で着替える広臣を横目に
持ち込んだ掃除用具を纏め、部屋を出る準備をした。


「じゃあ帰るね。行ってらっしゃい」

「A、待って」




窓から差し込んだ日差しがその姿を照らし

それがあまりにも綺麗で

広臣が導いた日差しなんじゃないかと錯覚するほどだった。



「下まで見送って?」


額にキスをくれたけど、


物足りないと思ったのは私のわがまま。






「じゃあ、行って来る」
「いってらっしゃい。頑張って」



タクシーに乗り込んだ広臣を見送り、

姿が見えなくなった時に感じたほんの少しの喪失感。




…ダメだ。子供じみてる。






自室に戻り
座り心地が全然違うソファーでふと思った。









「恋人…じゃないんだよね………」









“登坂さん、彼女、居ますか?”

“どうかな?ご想像で?”



あの時、南の問いを誤魔化した広臣。





身体を重ね、夜を越え、求め狂うる事があっても、

ストレートな嫉妬や独占欲を感じることはあっても、



心を言葉に紡がれた事はない。







私を抱き寄せるその腕も

声も、瞳も、


微かな自意識はありながらも、確信はない。






“恋人”じゃないから、

不安になるなんて傲慢な話かもしれないけど



それでも

不安で、不安で、押しつぶされそうだった。

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設定タグ:三代目 , 登坂広臣 , 岩田剛典   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - ユキさん» ありがとうございます^^ライブは、このお話の030での登坂さん風に“ご想像で”です(#^.^#) (2020年1月27日 16時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 空さんのストーリー大好きです三代目perfectyearライブは観に行く予定はありますか?私は京セラ観に行きたいけど倍率凄く高いですね(´;ω;`) (2020年1月27日 12時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ユキさん» 楽しんで頂ければ幸いです^^ (2020年1月26日 19時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 三代目メンバーのストーリー大好きです(*ゝω・*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - shireyさん» ありがとうございます(^^♪ (2020年1月26日 13時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月18日 10時

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