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010 side you ページ10

「A、本当ごめんね」


近くのイタリアンでランチメニューを注文し
早速本題に入った美鈴さん。

「ホント大丈夫です!気にしないで下さいね?」

あまりにも申し訳なさそうな美鈴さんに
逆に申し訳なくなった。

「だとしたら…
 そんなに落ち込んでない理由は、何?」



さすが美鈴さん。

的確に的を突いてくる。


「必要とされてないってわかったから…
 すがっても虚しくないですか?」


まさか、行きずりの男に満たされて
まさかそれが広臣だなんて言える訳もなく



でも。
すがるだけ無駄だと思ったのは事実だ。


あの時の彼の目には

はっきりとした意思がこもっていたから…





「そう…。

 ならいいけど、何かの時はいつでも言ってよ?」



事実を全て話せなかった私。

何かを察していたかもしれないけど
それでも向けてくれた心遣いに胸が痛んだ。


「さっ!この話は終わり!早く食べよ!」


運ばれて来たランチを頬張りながら
話題は今日移動して来た広臣の話になった。


同期の広臣を
同期の目線で聞かせてくれた美鈴さん。





新入社員研修で同じグループだった事。

人一倍努力家なのにそれを周りに見せない事。

大きなプロジェクトを成功させ
出世コースに乗った事。


今回の異動も
上海支社での業績を認められ
社の期待を背負っての事だと知った。



「…すごいんですね」

「私達の代では登坂がエース、かな」



一昨日までの広臣を私は知らない。

たった一晩過ごしただけなのに
どこかで広臣の事を知った気でいた自分が
幼稚に見えた。



「Aの代で言う“岩田”ってとこかな」

「私も新入社員研修、剛典と一緒でした」

「そうなの?お互い同期に恵まれたわね」



“同期が活躍する姿って、刺激にならない?”



やっぱり美鈴さん、かっこいいな。

私も頑張ろうと思った。

そしていつか

美鈴さんのようになりたいと思った。





昼休みも終わりが近づき、
会計をしている美鈴さんの首筋に目が止まった。

「ご馳走さまでした」


“それ”を見つけてしまった。


「美鈴さん、あの…」
「ん?何?」

「今日は髪を下ろした方がいいかも、です」

「…ありがとうA」



解いた髪に手ぐしを通した美鈴さん。

「さ、戻りましょ」



ここで追及するのは野暮だと思った。
美鈴さんのようにさらりと流せてこそ、大人の女。



半歩だけ美鈴さんに近づけた、


そんな気がしていた。

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設定タグ:三代目 , 登坂広臣 , 岩田剛典   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - ユキさん» ありがとうございます^^ライブは、このお話の030での登坂さん風に“ご想像で”です(#^.^#) (2020年1月27日 16時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 空さんのストーリー大好きです三代目perfectyearライブは観に行く予定はありますか?私は京セラ観に行きたいけど倍率凄く高いですね(´;ω;`) (2020年1月27日 12時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ユキさん» 楽しんで頂ければ幸いです^^ (2020年1月26日 19時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 三代目メンバーのストーリー大好きです(*ゝω・*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - shireyさん» ありがとうございます(^^♪ (2020年1月26日 13時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月18日 10時

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