１０６話 ページ7
数回の呼出音がなった後に聞こえてきたのは、師であるイズミの夫【シグ】の声だ。
懐かしいと感じたおかげか、多少は緊張も和らいだAは、挨拶もそこそこにエドやアルはいるか聞く。
「あいつらならイズミと一緒に買い出しに行ってる。そろそろ戻る筈だが……」
『………そうですか』
「…………？」
電話越しでも彼の良く知る元気さがないと感じ、何かあったのかと問うも、軽く笑いながらはぐらかされてしまう。
「イズミも話がしたいと言っていた。俺も久し振りにおまえの顔がみたい。まだ、調べものは終わらないのか？」
『すみません。その……』
言葉を詰まらせるAに、流石におかしいと思ったシグが何かあったのかと言葉にする前に……明るい口調で先に彼女が話しだす。
『あまりにも読みたい本が多すぎてですね、もう暫くは本の虫になっていたいんです。満足したら必ず顔を出しに行きますので……その、もう少しだけ待っていてくれませんか？』
最後は遠慮がちになっており、シグは暫しの沈黙の後に小さく息を吐く。
(こういうところは変わらんな……)
修行をしに来ていた頃も、イズミに叱られて落ち込んでいたらシグが傍で慰めていた。
家の裏で二人して座り込んでいると、メイスンがシグを呼んでいたが、彼が立ち上がると一瞬、何かを言いたげにするも笑顔で見送ろうとする。
そんな少女に当時のシグは頭を優しくなでながら言った。
「なんだ？言いたい事があるなら遠慮せずに言いなさい」
すると、顔を赤くしながら俯き、遠慮がちに小さく返事が帰ってくる。
『いえ、その……用事が終わったあとも、一緒に……いてくれますか？』
共に過ごす日が続けば、Aが肝心な時に甘え下手であるとカーティス夫妻は気づいていた。
だからこそ、こうして言葉や態度に出してもらえる事は嬉しくて堪らなかったのだ。
優しく笑みを浮かべて、彼は約束をしてから家の中へと向かう。
(娘がいたら……こんな感じなのだろうか)
子供からは強面の顔に体格のせいで恐れられるシグにとって、こうして懐いてくれる子は初めてだった事もあり、A達は可愛くて仕方がないのだ。
当時を思い出しながら、シグは苦笑しながら口を開く。
「ああ。いつでも俺達は待っているよ。いつでも……だから、終わったら帰っておいで。ここはもう一つの……Aの家なんだからな」
『………っ……はい』
「辛いなら今すぐにでも帰ってこい」
『ありがとう……シグさん』
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椿 - 続きを楽しみにしています！全シリーズ拝読させて頂いて、大好きな作品です！！更新再開をお待ちしています (1月15日 23時) (
レス) @page4 id: fd76d2b746 (このIDを非表示/違反報告)
Mira(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！！倒れない程度に頑張ってください！応援してます(ง ˙˙)ง (2023年1月26日 11時) (レス) @page13 id: 74a2903c73 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 更新再開楽しみにしています！ (2020年12月10日 18時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - うたプリ大好き?さん» コメントありがとうございます！長い間リアル多忙により、どの作品も更新停止状態ですが……今月中には更新できるように頑張ります！私自身も早く内容を進めたい気持ちが大きいので！時間は掛かりますが、完結するつもりで始めた夢小説ですので頑張りますよ！ (2020年12月10日 18時) (レス) id: 28a042828d (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - 狐日和さん» 今更と思われるでしょうが、応援コメントありがとうございます！長い期間、更新できずに申し訳ありません。世の中を苦しめているアレのせいでリアルの方が多忙となってしまいまして……今月中には更新できるように頑張りますね(^^)！ (2020年12月10日 18時) (レス) id: 28a042828d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SORA | 作成日時：2018年11月22日 21時
