【僕のヒーローアカデミア】転生・・また転生（女主）～３～ (ページ38)

今日:16 hit、昨日:3 hit、合計:96,754 hit

１３５話ページ38

無理やりに食事を共にしてもらい、愚痴まで聞いてくれる心ちゃん。
彼はお茶を啜った後に私の目を真っ直ぐに捉え口を開く。

「お前はどうなんだ？」
『……え？』

質問の意図がわからず首を傾げる私に心ちゃんは続ける。

「頼られたいと悩むのはいいが……お前自身は誰かを頼る事が少ないんじゃないか？弟には……滅多にしなさそうだ」

そう言われて私は反論できなかった。
高速で記憶を探っても、私が出久に特別何かを頼んだり……ましてや悩み相談など記憶になし。
家族でこれなのだから、かっちゃんや友人達などあるわけがない。

最近で言えばＵＳＪ襲撃事件の後に相澤先生から仲間を頼ること、チームワークを大事にと注意を受けている。

図星だったと顔に出ていたのか、心ちゃんは小さく息を吐きながら言う。

「その様子だと当たりか。力や能力が優れているというのも良い事ばかりじゃないな」
『……と、言いますと？』
「お前、自分の力のみで物事を解決できる事が多かっただろ。特に戦闘に関しては…」

静かに頷いた私が思い出すのは試験や襲撃事件の光景だ。
辛うじて共闘と呼べそうなのはステインを捕まえる時くらい…

己の力を過信している訳ではないが、前世から引き継いでいる経験は出久達との差を作ってしまう。

脳無との戦闘でも子供達には危険と判断したが、私なら堪えられると確信していた。
というか、そう思う事が多い。

『……なんか、私って嫌な女ですね。行動や言動のどれもが皆を下に見ているという証拠ですよ』
「……いつものポジティブ思考はどうした？」

乾いた笑いを溢す私に彼は頬杖をつきながら見ている。
しかめっ面の心ちゃんは再び小さなため息を吐く。

「俺も自分の個性があれば、他の奴らと協力する必要はないと思ってたさ。けど、騎馬戦でお前達と共に手に入れたアレは……とても胸が高まって、達成感だけじゃない」

思い出しているのか心ちゃんは小さく微笑み続きを口にした。
初めて見る彼の微笑みはとても穏やかだ。

「楽しくて……嬉しかったよ」

彼の次の言葉を待っていると、クラスメイトだろうか……「もうすぐで授業が始まるぞ」と心ちゃんを呼んだ。

もうそんなに経っていたか……と彼に礼を言おうとしたら先に心ちゃんが立ち上がり言った。

「お前が頼る事を覚えたら、自然と周りもついてくるだろう。弟も喜ぶさ」
『！！』

去り際に彼は「俺もヒーロー科の緑谷様に相談されて嫌じゃなかったからな」……と悪戯に笑みを浮かべていた。