【僕のヒーローアカデミア】転生・・また転生（女主）～３～ (ページ12)

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１０９話ページ12

前髪が長く表情の分かりにくいおさげの女の子は毎日ある場所へと赴いていた。

(今日も……いた)

気づかれないようにと遠くの草陰から覗き見るのは、同い年と思われる白髪少女の修業をする姿だ。

まだ七歳という子供でありながら、険しい表情で大量の汗を流している。

(まただ……立ってるだけなのに……スゴく息が詰まりそう)

拳を握りしめ立っているだけの白髪少女だが、離れた場所にいる彼女はその場の異変に気づき僅かに顔を歪めた。

それから数分後には仰向けに倒れた白髪少女は小さく……『……吐きそう』と呟く。

それでも震える脚で立ち上がった少女は再び修業を再開させ、おさげの少女はその様子を一ヶ月程前の記憶を思い出しながら見ている。

゛か、返して！おねがい！゛

゛やーだよ！返してほしかったら取りに来いよ。根暗おさげ！゛

゛アハハハ！確かに根暗だよな！゛

数人の男子にお気に入りのリボンを奪われた少女。
震えながらも必死に返して欲しいと頼むが聞き入れてもらえず、彼女の頬には大粒の涙が流れ落ちていく。

そんな時、リーダー格の男子が後頭部に蹴りを入れられ……吹き飛んでいった。
驚愕する男子達とは違い、少女の目には綺麗な髪をなびかせて凛々しい顔で立つ人物に瞳を奪われている。

゛………綺麗゛

時は戻り、白髪少女の修業を見ている少女の頬は緩み瞳を輝かせていた。
そんな彼女の髪には、あの時とは違う色のリボンが……

(凄いなぁ…カッコイイなぁ！…また、お話できないかな？………よし！明日こそは挨拶をする！そして、お話しよう！)

小さくエイエイオーと意気込む少女だが、目的を果たす事が出来たのは……この日から一週間後の別れの時だ。

これまた、詳しい話は更に先までお待ち頂こう。

Aの服の袖を摘みながら頬を染め、下を向いている椎名にAはどう声をかけたら良いのか分からずにいる。

(出会ってそんなに経っていませんし………椎名さんの様子からして私やヒューズさんのような特殊なタイプでもなさそうですね)

「ご、ごめんね」

少し焦るように話しだした椎名の顔はまだ赤く、視線は下に向けられている。

「わ、私にとってAちゃんは憧れの人で大切な人なの………その、元々が恥ずかしがりやなものだからストレートに指摘されるとこう…なんて言うか…パニックになっちゃうの」

『なるほど…』

前半部分が気になるAだが、椎名をこれ以上困らせない為に何も聞かなかった。