【僕のヒーローアカデミア】転生・・また転生（女主）～３～ (ページ1)

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９８話ページ1

湧き起こる歓声が会場を包む。
そんな彼らの視線の先には爆豪とAが立っている。

互いに言葉を交わすことなく向かい合う。
主審のミッドナイトは彼らの力強い瞳を目にしながら、相澤からの情報を思い出す。

(風邪なのは知っていたけれど……試合を重ねるごとに体力が落ちているのは明白。特に対芦戸戦では著しいまでの疲労をみせていたわね)

錬金術が原因なら、芦戸戦のような規模の錬成は止めねばならない。
二人とも戦闘能力が高いだけに目が離せないと、ミッドナイトは人知れずに息を吐く。

「緑谷ＶＳ爆豪！！ＳＴＡＲＴ！！」

開始早々に動いたのはAだ。
両手を合わせた彼女に爆豪やミッドナイト……事情を知る芦戸達は驚きをみせる。

(まさか芦戸戦と同じことをするつもり！？)

(弱ってるくせにいきなりかよ！)

ミッドナイトは万が一に備え、自身の個性を使用できるようにと構えた。
爆豪はいつでも空高く飛べるようにと両手を地面へと向け警戒する。

その間にAは床へと勢い良く手を付き、再び観客は錬成特有の光で視界を遮られる……かと思いきや、光はすぐに消えてしまう。

何故なら、彼女は錬成ではなく足場を……場外ギリギリまで破壊したのだ。

「「！？」」

平たい試合場は巨大な瓦礫の山と化し、爆豪は中央の一番デカイ瓦礫の上に立ち見渡す。
だが、Aの姿はなく小さく舌打ちを鳴らした。

(気配を感じねえ……【絶】で隠れやがったな)

【絶】とは……オーラの噴出口である精孔を閉じ、気配を絶つ技術だ。
他にも疲労回復の効果もある。

観客の戸惑う声だけが聞こえ、全くと言っていいほどにAは現れない。
痺れを切らした爆豪は、爆風で空高く飛び彼女の姿を探す……つもりだった。

両手を下に爆発を起こすと同時にAは背後から現れ、蹴りを入れようとしている。

「てめっ！」

僅か一秒程だった。
放った直後で防御も間に合わなかった爆豪は、背中を蹴られ場外へと飛ばされていく。

もちろん自身の個性を活かし場外は免れるが、彼には分かっていた。

(俺が簡単に場外するなんざ……)

後ろへと身体を捻らせながら両手を開き、攻撃を繰り出した彼の目の前には、同じく拳を振りかざすAがいた。

「おまえが思うわけねえよな！！」

Aの拳は当たる直前で爆発により防がれた。
もろに食らった爆発により、勢いが止んだ彼女の腕を掴んだ爆豪は、引き寄せながら額に向けて拳を伸ばす。

『っ！』